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「バイオポリマー合成の研究」と「酵素評価方法の発明」が「Tire Technology International Awards for Innovation and Excellence」の2部門で受賞

 住友ゴム工業(株)は、3月21日から23日にドイツ・ハノーバーで開催された「Tire Technology Expo 2023」内で開かれた「Tire Technology International Awards for Innovation and Excellence」において、「バイオポリマー合成の研究」が最先端の材料研究に贈られる「Materials Innovation of the Year」を、「酵素評価方法の発明」が研究におけるブレークスルーに贈られる「R&D Breakthrough of the Year」をそれぞれ受賞しました。

 

 3月21日に開催された授賞式には、材料開発本部 材料企画部 課長 宮城ゆき乃、Sumitomo Rubber Europe GmbH マネージングディレクター Dr. Bernd Löwenhauptが出席し、「多くの研究者との共同研究成果による受賞であり、プロジェクトの関係各位に感謝します。住友ゴムグループは、サステナビリティ長期方針に基づき、持続可能な社会の実現に取り組んでいます。天然ゴムを持続可能な資源とするために、関係する皆様と協力して様々な活動を推進するとともに、先進的な研究を継続することで、原材料の安定供給および環境負荷の少ない製品提供を通じて、持続可能な社会の発展に貢献していきます。」と述べました。


 

授賞式の様子

(右から2番目が宮城課長、一番右がDr. Löwenhaupt)
 

■バイオポリマー合成の概要

 東北大学、金沢大学、埼玉大学、理化学研究所と共同で、天然ゴム合成酵素と類似した構造を持つトマト由来酵素の研究を進め、自然界に存在しない構造のバイオポリマーの合成に成功しました。

・大型放射光施設「SPring-8」を活用して、天然ゴム合成酵素と類似した構造を持つトマト由来の酵素の構造を解明※1

・天然ゴムの鎖長制御に重要な天然ゴム合成酵素の部位を特定。この重要部位をトマト由来酵素に組み込んだ「改変トマト由来酵素」を触媒として、自然界には存在しない構造のバイオポリマーの合成に成功※2

・「改変トマト由来酵素」を触媒とすることで、トマト由来酵素が本来用いる先頭モノマー以外のモノマーを使用可能であることを発見。この特性を利用することで、先頭モノマーを選択した全く新しいバイオポリマーの合成に成功※3


   

■酵素評価方法の概要

 埼玉大学、東北大学、金沢大学との共同研究により、人工膜(ナノディスク)を用いた酵素評価方法を発明しました。従来は天然由来の膜を使用しており不純物の混入が課題でしたが、より精度の高い評価が可能になりました。さらに、人工膜上での天然ゴム合成酵素の機能発揮にも成功しました。※4



 「Tire Technology Expo」は、2001年より欧州で開催されているタイヤ製造等に関する技術発表・展示会で、タイヤメーカーをはじめ素材メーカー、公的研究機関などがその研究成果を発表し、12の分野※5で優秀な技術を表彰するものです。

 

 今回の受賞は、当社の材料開発における先進的な取り組みと、高い技術力が認められた結果であると考えております。今後もさらに研究を進めることで、天然ゴムの安定供給とともに、安全・安心で環境負荷の少ないタイヤの提供を通して、持続可能な社会の発展に貢献していきます。

 

 なお、当社の「Tire Technology International Awards for Innovation and Excellence」での受賞は、2010年の「第4世代ランフラットタイヤ技術」、2017年の「新材料開発技術ADVANCED 4D NANO DESIGN」、2019年の「SENSING CORE」、2022年の「性能持続技術」に続き、今回で通算6回となります。※6

 

※1 天然ゴム合成酵素と同類「トマト由来酵素」の構造を解明~東北大学、金沢大学、理化学研究所と協業~(2022年3月3日リリース)

※2 天然ゴムの品種改良につながる実験に成功~自然界にないバイオポリマーを合成~(2022年6月30日リリース)

※3 夢の低燃費タイヤの開発につながるバイオポリマーの合成に成功~天然ゴムの品種改良により持続可能な社会に貢献~(2022年10月13日リリース)

※4 天然ゴム生合成メカニズム解明につながる酵素評価方法を発明~埼玉大学、東北大学、金沢大学と協業~(2022年4月14日リリース)

※5 Environmental Achievement of the Year – Tire Design, Environmental Achievement of the Year – Manufacturing, Environmental Achievement of the Year – Industry Contribution, Chemicals and Compounding Innovation of the Year, Materials Innovation of the Year, R&D Breakthrough of the Year, Tire Manufacturing Innovation of the Year, Tire Industry Supplier of the Year, New Tire Technology of the Year, Tire Concept of the Year, Tire of the Year, Tire Manufacturer of the Year

※6 過去4回の受賞は、いずれも「Tire Technology of the Year」

 

<ご参考>

「Tire Technology Expo 2023」ホームページ