タイヤ製造における水素エネルギーの活用

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当社グループは、2021年にサステナビリティ長期方針「はずむ未来チャレンジ2050」を策定し、カーボンニュートラルをはじめ持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めています。当社の主力タイヤ工場である福島県白河工場では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として支援を受け、2021年8月から、次世代エネルギーとして期待されている水素の活用に向けた実証実験※1に取り組んでいます。また、水素エネルギーの導入に加えて、従業員駐車場へ太陽光発電パネルを導入※2することで、2023年1月には、水素エネルギーと太陽光発電を使用した日本初※3の製造時(Scope1,2)カーボンニュートラル※4を達成した量産タイヤ※5の生産を開始しました。

水素ボイラー

水素ボイラー

水素受入施設

水素受入施設

太陽光発電パネル

太陽光発電パネル

※1 福島県白河工場で水素活用の実証実験を開始(ニュースリリース発行:2021年7月28日)
※2 実証実験を行っている高精度メタルコア製造システム「NEO-T01」で使用する以上の発電が可能。
※3 当社調べ
※4 二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすること
※5 FALKEN「AZENIS FK520」。 FALKEN「AZENIS FK520L」は除く。

水素エネルギーと太陽光発電を活用したタイヤ製造

従来から電力においては、省エネルギーの推進、コージェネレーションシステムの拡大、太陽光発電の導入、再生可能エネルギー由来のグリーン電力の調達を軸にCO2削減に取り組んでいます。製造段階(Scope1、2)においてカーボンニュートラルを達成するには、加硫工程で必要な高温・高圧な蒸気エネルギーについても、現在使用している天然ガスからの燃料転換が必要条件となります。 加硫工程では熱と圧力を加え化学反応を起こしタイヤを仕上げますが、ここで必要な高温・高圧の蒸気は、電力から得ることが技術的に難しく、燃焼してもCO2を排出せずに高温・高圧の蒸気を発生させることができる「水素」を活用することとしました。

実証実験では、高精度メタルコア製造システム「NEO-T01」の加硫工程に水素ボイラーで発生させた蒸気を供給しています。また、従業員駐車場には、約700台のカーポート式太陽光発電設備を導入することで、「NEO-T01」で使用する以上の発電を可能とし、水素エネルギーと太陽光発電を使用した日本初の製造時(Scope1,2)カーボンニュートラルを達成した量産タイヤを生産しています。

※「快適性能」「環境性能」「安全性能」を高次元で実現する高精度メタルコア製造システム。(1)実際の仕上がりのタイヤサイズで作られているタイヤ内側の形状をした金属の成形フォーマーにタイヤの各種部材を貼り付けていく「メタルコア工法」、(2)メタルコアへの部材貼付けを100分の1ミリ単位のコンピュータ制御システムによってコントロールする「全自動連結コントロール」、(3)従来より強靭な素材を補強部材とする「高剛性構造」、という3つのキー技術を用いた工法。

水素エネルギーの地産地消モデルの構築

水素は福島県内の水素製造拠点から供給を受けることで、水素地産地消モデルの構築を目指しています。 福島県は、現在再生可能エネルギー導入率が40%以上を占める再生可能エネルギー先進県であり、さらに2040年に再可能エネルギー100%化のビジョンを掲げています。 白河市においても2050年までにCO2排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ宣言」を行っています。当社は、地域で生産された水素を使ってものづくりをすることで、地産地消モデルの構築、カーボンニュートラルの実現に貢献していきます。

水素運搬用トレーラー

水素運搬用トレーラー

産学官連携の取り組み

水素社会の実現に向けた実装モデルの確立には、1社単独での取り組みでは実現が難しく、関係する産・学・官の協力が成功の鍵を握ると考えています。 既に水素の供給においては、安定した水素の製造や輸送に向けて製造施設やエネルギー企業と連携しており、水素の使用においても、関係メーカーとの積極的な情報交換を行っています。 教育機関や研究機関からも学術的見地からのアドバイスをいただけるよう講演会を通じた情報収集を行っています。 今後は、助成事業によるサポートや行政・地方自治体からのバックアップもいただきながら、 産・学・官との連携をさらに強化すべく、コミュニケーションを図っていきます。

水素利用における技術の確立を目指す

実証実験は、2024年2月までの実施を予定しています。2050年カーボンニュートラル達成に向け ・タイヤ製造における水素エネルギーを活用した技術の確立・福島生まれの水素を利用した地産地消モデルの構築に向けて実証実験を継続していきます。 また、実証実験後の水素需要拡大を見据え、再生可能エネルギー由来の電力からの水素製造、カーボンフリー水素の調達を行い、タイヤのサプライチェーンを通じたCO2排出量の極小化を図ります。 実証実験終了後には、水素エネルギーの利用を白河工場全工程へ拡大し、さらに他の国内・海外工場への拡大を目指して具体的な計画を策定していきます。