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タイヤ・路面摩耗粉じんに関する6件の研究成果を「Tire Technology Expo 2026」で発表~発生・拡散・蓄積の3段階において科学的に検証~

  DUNLOP (社名:住友ゴム工業(株)、社長:山本悟)は、3月3日~5日にドイツ・ハノーバーで開催されたタイヤに関する世界有数の技術発表・展示会「Tire Technology Expo 2026」で、タイヤ・路面摩耗粉じん(TRWP)※1に関する6件の研究成果を発表しました。

「Tire Technology Expo 2026」での当社発表の様子

 当社は、TRWPが環境に及ぼす影響の解明と低減を重要課題と認識し、タイヤメーカーとしての社会的責任を果たすべく、各種取り組みを推進しています。タイヤの耐摩耗性を高めることでTRWP発生量の低減に努めるとともに、科学的データに基づくアプローチを通じて課題と真摯に向き合い、TRWPの①発生、②拡散、③蓄積の3段階に着目して、環境負荷低減のための調査・研究に取り組んでいます。昨年8月に、その成果をニュースリリースとして公表※2しましたが、その後も研究範囲を広げ、外部の研究機関や企業と連携しながら、継続的に取り組みを進めています。
 今回、「Tire Technology Expo 2026」において、TRWPの①発生、②拡散、③蓄積の各段階で新たに得られた知見および研究成果を発表しました。


■研究成果の概要
「①発生」について
(TRWPの形成メカニズムの解明)
研究成果1. タイヤ添加剤がTRWPの形成に与える影響の解明
  ロンドン・クイーンメアリー大学のJames Busfield教授との共同研究では、走行中のタイヤ表面で起こる化学的な変化に着目し、TRWPがどのように形成されるかを調べる新しい方法を開発しました。また、タイヤに配合する添加剤の種類や量を変えることにより、TRWPの大きさや成分の割合をコントロールできる可能性も確認しています。これらの成果は、TRWPが環境に与える影響を減らすための取り組みに貢献すると期待されます。
ロンドン・クイーンメアリー大学:https://www.qmul.ac.uk/

研究成果2. TRWPの回収・検出技術に関する新たな室内試験手法の確立
   オランダの装置メーカーである VMI 社との共同研究では、ゴム試験片を用いた室内摩耗試験において、TRWPを回収・検出する技術を検証しました。その結果、幅広いサイズの TRWP を取得・解析できる新たな手法を開発することに成功しました。引き続き、TRWPが発生する仕組みの解明を進めるとともに、発生を抑制するための技術開発に取り組んでいきます。
VMI社:https://vmi-group.com/

(疲労摩耗のメカニズムと予測)
研究成果3.タイヤ摩耗の予測技術の開発
   「疲労摩耗」に着目し、ゴムの疲労特性を定量的に評価する新たな試験手法の研究を、ドレスデン工科大学と進めています。本研究では、コンクリートなどの比較的ざらざらした路面において、タイヤのゴムに生じる微細なひび割れの発生・成長を解析し、タイヤ摩耗をより正確に予測できるモデルを構築しました。これにより、ゴム材料の耐久性と耐摩耗性を短時間で評価できる試験方法の確立にめどが立ちました。また、ゴムの配合物性との関係を調べることで、耐摩耗性の改善に向けた技術開発が加速されます。耐摩耗性能の改善はTRWP発生の抑制につながります。
ドレスデン工科大学:https://tu-dresden.de/

「②拡散」について
(TRWPの特性解明と拡散抑制の研究)
研究成果4. 空力を活用したTRWP回収装置の設計
研究成果5. タイヤ周辺の三次元的な風の流れを捉える計測研究
   空気力学の専門家であるドイツ・オストファリア応用科学大学のFalk Klinge教授と共同で、走行中のタイヤ周辺に生じる空気の流れを利用したTRWP回収装置の開発に取り組んでいます。今回、可視化装置を改良することにより、タイヤの幅方向を含む風の流れを三次元的に捉えることに成功しました。また、この三次元的な流れの情報を基に、回収装置の取り付け角度の最適化について検討を進めたことで、空力を利用したTRWP回収装置の実用化可能性を実験的に示すことができました。今後はTRWP の回収率向上に向けた最適化を進め、2028年に実車試験の実施を目指します。
オストファリア応用科学大:https://www.ostfalia.de/en
※4、5は関連する研究内容のためまとめて記載しています。

「③蓄積」について
(環境中のTRWPとマイクロプラスチックの分離・定量分析)
研究成果6. TRWPとマイクロプラスチックの分離・定量分析手法に関する研究
   環境中にはTRWPだけではなく、マイクロプラスチックも排出されており、これらの排出量についてさまざまな推定がなされています。今回、京都大学・地球環境学堂の田中周平准教授との共同研究において、マイクロプラスチックの存在の一部が見逃されていた可能性が分かりました。京都市の交差点で採取した道路塵埃(じんあい)において、土や砂などの重たい成分の中にも、TRWPだけでなく、従来の分析では見過ごされてきた300μm以下のマイクロプラスチックが大量に存在していました。環境中におけるTRWPおよびマイクロプラスチックの蓄積場所とその量を正しく把握することは、TRWPの拡散や蓄積の予防、緩和に向けた重要な知見となります。引き続き、これらの収集に取り組んでいきます。
京都大学・地球環境学堂:https://www.ges.kyoto-u.ac.jp/

 本取り組みは、2024年10月に発表した7つのマテリアリティ※3(重要課題)のうち、「生物多様性」への対応を具体化するものです。サステナビリティ長期目標「はずむ未来チャレンジ」※4においても、TRWPの環境影響に関する研究調査と緩和に向けた取り組みを掲げています。

 TRWPは未解明な点が多く、特に環境への影響はさらなる研究と検証が求められています。当社はWBCSD※5傘下のTIP※6に発足当初より参画し、TRWPに関する調査研究、評価手法の確立、ステークホルダーとの対話などに取り組んでいます。また、一般社団法人日本自動車タイヤ協会(JATMA※7)や一般社団法人日本ゴム工業会(JRMA※8)の一員として、TRWPの評価に関するISO規格の策定にも関与しています。科学的データに基づくアプローチを通じてTRWPに関する課題と真摯に向き合い、環境負荷の低減と社会的責任の遂行に努めてまいります。

 当社は2026年より、コミュニケーションブランドをDUNLOPに統一しました。
 DUNLOPは、「挑戦を支える安心」「期待を超える体験」「限界への挑戦」という3つの提供価値を、すべての商品・サービスで体現し、革新的な体験を通じて世界中の人々にポジティブな感情を生み出すことを追求していきます。
ブランドステートメント「TAKING YOU BEYOND」には、挑戦するすべての人々の可能性を広げ、その先へ導く存在であり続けるという想いを込めています。


※1 自動車の走行時にタイヤと路面の摩擦によって発生する微細な粉じん。主にタイヤのトレッド部材と道路舗装材からなる混合物
※2 タイヤ・路面摩耗粉じんに対する取り組み成果を国内外の学会で発表(ニュースリリース発行:2025年8月29日)
https://www.srigroup.co.jp/newsrelease/2025/sri/2025_065.html
※3 住友ゴムグループのマテリアリティ:https://www.srigroup.co.jp/sustainability/materiality.html
※4 サステナビリティ長期目標「はずむ未来チャレンジ」:https://www.srigroup.co.jp/sustainability/challenge2050.html
※5 WBCSD: The World Business Council for Sustainable Development /持続可能な開発のための世界経済人会議
※6 TIP: Tire Industry Project /グローバルタイヤメーカー10社からなる業界団体
※7 JATMA: The Japan Automobile Tyre Manufacturers Association, Inc.
※8 JRMA: The Japan Rubber Manufacturers Association

<ご参考>
Tire Technology Expo 2026 https://tiretechnology-expo.com/