クロストーク:サステナビリティ×人事×財務

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クロストーク:サステナビリティ&人事&財務 クロストーク:サステナビリティ&人事&財務

長期経営戦略の基盤に
サステナビリティを据えてはずむ
未来をひらく

経理財務本部長

荒木 伸治

執行役員
経営企画部長
グローバル新拠点推進プロジェクト部長
サステナビリティ・DX・
サイバーセキュリティ・広報担当

日野 仁

取締役
常務執行役員
人事総務・BX・サステナビリティ・
経営戦略・DX・イノベーション・
オートモーティブシステム事業統括

國安 恭彰

執行役員
人事総務本部長
ビジネストランス
フォーメーション(BX)本部長

徳毛 裕司

住友ゴムグループでは、2035年を見据えた長期経営戦略の実現に向け、サステナビリティ経営体制の強化に注力しています。サステナビリティ経営を主導する責任者4名が集まり、戦略、人材、財務の観点から当社グループにおけるサステナビリティ経営について討議しました。

「長期経営戦略」におけるサステナビリティ経営の意義
攻めの経営を支える持続可能な成長基盤

國安
当社グループは構造改革を通じて成果を上げ、2025年度以降は攻めの経営へと大きく舵を切ります。持続的な成長を実現するためには、サステナビリティに正面から取り組むことが欠かせないと経営陣一同が認識しています。
例えば、当社の売上は約7割が海外であり、生産現場も海外の方が多い。多様な人材に能力を発揮いただくとともに海外拠点におけるガバナンス強化が重要です。さらには、天然ゴムという自然資源を利用しているため、持続可能な調達と環境・人権への配慮が欠かせません。サステナビリティ経営の推進が会社の未来を左右すると考えます。

日野
そうした観点から、サステナビリティ経営を本格化させています。
2025年3月に発表した長期経営戦略においても、変化に強い経営基盤を構築するためにサステナビリティを組み込みました。

荒木

今回の長期経営戦略では、変化に強い経営基盤の構築を重視し、サステナビリティ経営の推進に向けた投資を織り込んでいます。外部環境は常に変化するため、予算や中期計画の段階ごとに財務の健全性を確認し、計画どおりに投資が実行できるかを見極めていきます。これによって、顧客価値と社会価値の両方を生み出すことが長期経営戦略の核心です。

荒木 伸治

國安
顧客価値と社会価値を両立させるための果敢な挑戦の成果が、新製品「SYNCHRO WEATHER(シンクロウェザー)」です。タイヤ性能の向上により新たな顧客価値を提供し、加えて環境負荷の低減により社会課題解決にも貢献できる点で、サステナビリティ経営の理想を体現しているといえます。成長戦略や商品戦略に環境や社会の課題解決の視点を取り込むことは不可欠であり、長期経営戦略にもその思いを込めています。

徳毛
こうした成長戦略を確かなものにするためには、人的資本への継続的な投資が欠かせません。人的資本経営は長期経営戦略の実行を支える基盤です。一人ひとりのパフォーマンスやスキル、モチベーションを引き出す取り組みを重ね、強い想いを持ち果敢に挑戦できる人材と組織の実現を目指します。

サステナビリティ経営の振り返り
堅実な礎が生み出す新たな挑戦と価値創出

國安

2021年にサステナビリティを推進する部署を設立してから今年で5年目を迎えました。この間、サステナビリティ経営の推進体制を見直し、各施策に対して経営層によるレビューを行うサステナビリティ推進委員会や社内横断の組織である部会を整備してきました。

國安 恭彰

日野
これらの体制の下、長期経営戦略の策定を見据え、2024年10月にマテリアリティを見直しました。バリューチェーン全体のリスクと機会を改めて分析し、ダブルマテリアリティの手法で当社の重要課題を再定義しています。さらに、マテリアリティを具体的な取り組みにつなげる枠組みを整えています。「サステナビリティ・アドバイザリーボード」の新設もその一環です。

※ 事業とサステナビリティの統合を目指し、2025年1月に社外ステークホルダーと経営層との対話の機会であるサステナビリティ・アドバイザリーボードを設立。不確実性が増す外部環境の中で企業として成長し続けていくため、社外の有識者をお招きし、当社事業におけるサステナビリティの戦略について助言をいただいた。当社からは各事業担当役員が参加し、サステナビリティをどう事業に反映させていくか対話を実施。

國安
「サステナビリティ・アドバイザリーボード」は社外ステークホルダーと事業担当役員との対話の機会です。「Our Philosophy」を事業活動で実践するために、当社グループのどの資本を強みとし、長期的にどのような社会価値を提供していくのか。対話を通して、よりよい社会に向けた当社の役割について考え、議論しています。

荒木
財務面の枠組みとしては、2024年度から経理財務本部とサステナビリティ経営推進本部が連携し、サステナビリティ関連の投資枠を設定しています。この枠内での優先順位はサステナビリティ経営推進本部が決定しますが、財務の健全性が保たれているか、注視しながら進めていくのが私の役割です。

徳毛
財務面の裏付けがあるからこそ、人的資本経営の面でも挑戦できます。
人事担当の立場から強く危機感を抱いているのは、国内工場における人材不足です。私はこのたび10年ぶりに人事領域業務に戻りました。近年中国にも駐在していましたが、海外以上に国内の工場の人材確保が喫緊の課題です。国内工場における課題解決のプロジェクトが発足し部門横断で取り組んでいますが、長期経営戦略のもとで取り組みを一層強化する必要があります。
その第一歩として、2025年度からエンゲージメント調査を他社と比較可能な形式に変更し、状況を客観的に把握する体制を整えました。今後3年間でグローバルでも調査を始めます。

國安
2025年にはDE&I部会を設置し、人材の多様性や公平性に関する議論を深めています。

徳毛

これまでDE&Iの推進は「仕事と家庭の両立支援」の面から語られることが多かったと思います。しかし私たちが目指すのは、性別や属性に関わらず「多様な個が能力を発揮できる組織」です。国内工場での取り組みにもそうした視点を組み込んでいます。社会構造によって生じた男女間の機会格差を是正することも重要なテーマです。多様な人材がそれぞれの力を発揮できる環境づくりが組織の持続的な成長につながり、長期経営戦略の実現にも貢献すると確信しています。

徳毛 裕司

2025年以降の取り組み
サステナビリティ経営がひらく新たな事業領域

日野

今後はサステナビリティ推進委員会下の各部会の横串と、各事業部での縦串の両面から、サステナビリティ施策の実効性を高めていきます。現在「はずむ未来チャレンジ」を見直しています。これらの取り組みは適時適正に開示していきます。

日野 仁

國安
当社が取り組むべき施策の一つが気候変動への対応です。生産段階でのカーボンニュートラル実現に向け、白河工場では水素エネルギーと太陽光発電を活用したタイヤ生産に挑戦しています。さらに、製品のイノベーションを加速することによって、製品の使用段階での炭素排出量の削減、例えば自動車の燃費向上にも貢献します。

荒木
気候変動への対応については、財務面からも後押しに努めます。カーボンニュートラルに関しては、2023年からインターナル・カーボン・プライシング(ICP)を導入し、CO2削減効果を金額換算して投資判断に反映する仕組みを構築してきました。

國安
また、気候変動は当社事業にとって重要な原材料の一つである天然ゴムへも大きく影響します。現状のゴム農園、特に影響を受けやすい小規模農家の皆様への支援を行うとともに、新たな調達方法や代替素材の創出などを並行して模索する必要があります。

徳毛
天然ゴムの調達は国際的にも児童労働や強制労働などの人権リスクが高い分野とされています。当社グループにはゴム農園で働く方々をはじめ従業員やお取引先様など、サプライチェーン全体に関わる人々の人権を尊重する責任があります。2024年には、グループ横断で人権課題に取り組む部会を立ち上げ、各部門が連携しながら施策を進めています。今後も現場に根差した実践的な人権尊重の取り組みを強化していきます。

國安
企業を取り巻く環境が複雑化する中で、変化に強い経営基盤を支えるために欠かせないのがガバナンスです。

徳毛
ガバナンスの観点では、取締役会の実効性向上およびリスクマネジメント体制の強化が重要です。2024年に引き続き、社外取締役が取締役会議長を務めることに加え、2025年から取締役の構成が初めて社内5名、社外5名と半数が社外取締役となりました。取締役会の独立性を高めることにより、監督と執行の機能分離をより適正に進めます。

日野
執行の観点からは、変化の激しい時代に対応できる全社的なリスク管理体制を強化します。

徳毛
現在運営しているリスク管理委員会・企業倫理委員会・サステナビリティ推進委員会を連携させることが重要だと認識しています。2024年度にはマテリアリティを基盤とした重要リスクの見直しを行い、人権、サステナビリティに関連するリスクを明確にしました。今後はKPIによる追跡管理を通じて組織的に連携し、実効性の高いリスクマネジメントを推進します。

國安
事業部を横断して技術を活用するための議論も活発化しています。例えば、タイヤ事業で開発された「アクティブトレッド」の技術を、ゴルフ用品や産業資材など他分野に応用する可能性を検討しています。従来の縦割り型の研究開発体制を見直し、社内外で協力して新たな価値を生み出すことを目指しています。また、サステナビリティ経営の推進は新たな収益に直結する重要な取り組みです。タイヤ事業に限らず、新しい事業領域の開拓につなげていきたいですね。

徳毛
今後はイノベーション、新たな価値創出のために社内外の連携を重視し、従業員の協働を評価する制度設計も進めます。

國安
住友グループで受け継がれてきた「住友事業精神」には、「信用を重んじ、確実を旨とし」という一節があります。「確実」とは、地に足のついた堅実な経営を意味し、その実現には顧客価値と社会価値の両立が不可欠です。投資家をはじめとするステークホルダーの皆様のご期待にお応えするため、施策内容とその成果について適時に開示を行いながら、事業を通じた社会課題の解決にいっそう取り組んでまいります。