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写真:代表取締役社長 山本悟

企業の経済的価値と
社会的価値を
さらなる高みへ

住友ゴム工業株式会社
代表取締役社長
代表取締役社長 山本悟

プロフィール : 
山本 悟(やまもと さとる)

1982年
当社入社
2001年
当社タイヤ営業本部販売部長
2007年
ダンロップファルケン九州代表取締役社長(現ダンロップタイヤ九州(株))
2010年
当社執行役員、当社ダンロップタイヤ営業本部副本部長
2011年
当社ダンロップタイヤ営業本部長
2013年
当社常務執行役員
2015年
当社取締役(常務執行役員)
2019年
3月26日より現職

はじめに、新型コロナウイルス感染症により、お亡くなりになられた方々に哀悼の意を捧げるとともに、罹患された方々に心よりお見舞いを申し上げます。感染再拡大が懸念され、先行きが予断を許さない状況のなか、世界各地で治療や感染予防に尽力されておられる方々に感謝と尊敬の意を表します。
住友ゴムグループは、2025年までに売上収益1兆円・事業利益1,000億円の達成を目指す新たな中期計画を2020年2月に発表しました。その後、新型コロナウイルスの感染が世界中で拡大しましたが、住友ゴムグループの社員と家族の健康・安全を守ることを最優先に考え、その上で「いかに事業を継続していくか」という視点で、あらゆる手段を用いて業績への影響を最小限に食い止めることに注力しました。まず、同年2月に危機管理本部を設置してグローバルに情報を共有し、「我々はこの困難を必ず乗り越える」という強いメッセージを発信しました。
上半期は、市況が大幅に低迷しましたので、従業員の感染防止の対応と同時に工場の稼働を一部停止するなど緊急対応を余儀なくされましたが、その一方で、市況の回復に備えてさまざまな準備を進めました。その後、下半期に入って中国や北米でいち早く市況が改善し始めるにつれて、当社は需要の回復に迅速に対応して販売を伸ばしました結果、下半期は前年同期比で増益を達成することができました。
また、コロナ禍にあっても、中期計画に掲げた課題については、変化に即してアクションプランを適宜追加、修正しながら、着実に取り組んできました。例えば、高機能商品の開発・増販の取り組みを加速したことで、市況が低調ななかでもSUV用タイヤの販売は堅調に推移し、技術に裏打ちされた商品の強みを改めて認識できました。ウィズコロナと言われる新常態への対応といった新たな課題もあぶり出されましたので、さまざまなデジタル技術を活用して、お客様への対応やリモートワークといった働き方の面での改革にも全社で取り組みました。
こうした住友ゴムグループ社員全員の努力によって、コロナ禍に対して柔軟に対応し、業績の低下を最小限に抑えることができたことに加えて、中期計画に3つのバリュードライバーとして掲げた課題についても着実に取り組めたことから、2025年までの業績目標値は変更せず、今後も随時アクションプランを追加・修正しながら目標に向かって取り組んでいくこととしました。

経営基盤強化プロジェクト
(Be the Change プロジェクト)

2020年はコロナ禍で人々の生活・行動に大きな変化が発生しましたが、産業界においても、100年に一度といわれる自動車産業の変革やデジタル技術の進展に伴う消費行動の変化といったさまざまな事業環境の変化が既に発生しており、そのスピードは速まっています。私は、そのような変化に柔軟に対応して中期計画の目標を達成するためには、人材の総合力を発揮することが重要だと考えています。社長に就任して以来、グループ会社を個々に訪問し、多くの社員と直接会話をして現場での取り組みや社員の思いを聞いて回りました。その多くの社員との交流を通じて感じたことは、もっと社員の力を結集し、より力強く同じベクトルに向かって進むことができる会社にしたい、ということです。そのような思いから昨年スタートさせたのが、経営基盤強化を目指す「Be the Changeプロジェクト」です。この活動は、組織の壁を乗り越えて自由闊達に意見を言い合い、社員同士の縦横のつながりを深めて課題に取り組むことで「利益基盤の強化」と「組織体質の強化」を実現することを目指しています。この活動によって企業体質を強化し、競争力・変化対応力のある、後戻りしない、強い利益体質を確立し、将来にわたって外部環境の変化に左右されにくい企業体質を構築できると考えています。私は、このプロジェクトの効果として、「社員が日々行っている実務が変わる」だけでなく、「社員のマインドセットが変わる」というレベルまで実現したいと考えています。そして、多様な人材が活き活きと活躍できる組織風土を作り上げていきます。そのために、まず、役員が率先垂範で変わること、部門最適ではなく、お客様視点・全社視点で考える(組織の壁を壊す)こと、部門間の連携を強く意識してチームで仕事をすること、情報をオープンにして多様性を尊重しながら自由闊達な議論を行うこと、一歩踏み出す勇気を持ってチャレンジすること、難しい大きな課題にも果敢に挑戦すること、といったメッセージを社員に対して日々発信し、変化を後押ししています。
併せて働き方改革を積極的に進めています。『縦と横のつながりで大きな成果を』という考えのもと、D&I (ダイバーシティ&インクルージョン)推進とデジタル化推進の両輪で改革を進めています。39,000人を超える世界中の多様な住友ゴムグループの人材が互いに尊重し合い、自由闊達に働き、活き活きと輝ける風土づくりを行っていきます。また、デジタル化の推進により時間を創出し、より付加価値の高い仕事に挑戦する時間をつくり出すことで、従業員一人ひとりが持つ強みや良さを最大限に発揮して自身の働きがいを見つけてほしいと考えています。これらの働き方を推進するために不可欠なことはコミュニケーションです。従業員が縦横でつながることで大きな成果を生むと信じています。Be the Changeプロジェクトの推進を基軸として、働き方改革に本気で取り組んでいきます。
このプロジェクト活動を2020年4月から本格的にスタートし、社員一人ひとりの考え方や行動を変えていく取り組みに加えて、新たな価値の創造、コストの削減、キャッシュを創出する活動等を推進してきました。これまでの活動の成果として4,000件を超えるアイデアが生まれており、金額に換算するとキャッシュ300億円、利益100億円の規模になりました。また、この活動を通じて社員一人ひとりの力量や組織の総合力で成果を出していく力が高まっていると感じることが多くなってきました。当初は本部からのトップダウンで始まった部門横断のプロジェクトですが、現在は各部門の発案で全社の価値向上につながるプロジェクトが次々と立ち上がっています。誰かが変えてくれるのを待つのではなく、自分自身で物事を変える「一歩踏み出す勇気」を持ち、行動し始めている、と実感しています。
会社が置かれている状況に対する「健全な危機感」と「将来に向けた明るい希望」の両方を持ちながら、このプロジェクトをもう一段進めて、グローバルで経営基盤の強化を推進し、より魅力のある会社にしていきたいと考えています。

中期計画の進捗

昨年の2月に発表しました中期計画では、2020年までに構築してきたグローバル体制の成果を最大化すること、新たなタイヤの価値を表現した「スマートタイヤコンセプト」を次のステージへ進化させること、そして、「経営基盤強化」の活動により環境の変化に強い企業体質を作っていくことをベースとして、企業の社会的価値・経済的価値を高めていくために「高機能商品の開発・増販」「新たな価値の創出」「ESG経営の推進」という3つのバリュードライバーに取り組むこととしています。

写真:代表取締役社長 山本悟

グローバル体制の成果を最大化

これまでの先行投資の結果、当社は日本を含む主要な需要地に生産工場と販売会社を有することができました。競合する世界の大手タイヤメーカーを見ても、そのような体制を構築できているのは、ごく一部に限られます。そういう意味で、当社グループはお客様から非常に期待される存在となっています。北米と南アフリカの工場は、まだ課題が多い状況ですが、徐々に改善が進んでいます。今後、両工場を軌道に乗せ、世界中で同じ品質・サービスを提供できる体制を整備していきます。特に、グローバルに事業展開されている自動車メーカー様に世界中でタイヤを納入させていただくことは、当社の技術力をさらに高め、補修用タイヤ市場における信頼性を高めることにもつながります。今後、さらにグローバル体制の強みを発揮して、お客様の期待に応えていきたいと思います。

スマートタイヤコンセプトを次のステージへ

当社は、タイヤの新たな価値を「スマートタイヤコンセプト」で表現していますが、このコンセプトを次のステージへ進化させていきます。
「安全・安心なソリューションを提供できるタイヤ」としては、既に事業化している空気圧低下警報装置の技術と、路面の情報を検知できるセンシングコア技術によって、タイヤから得られるさまざまな情報をクラウドシステムに乗せて広く活用できる仕組みを構築することを目指しています。安全がもっと長続きする、危険を回避できる未来のタイヤとサービスを創出することを目指して、「スマートタイヤコンセプト」の技術をさらに高めていきます。
「ライフサイクルアセスメントの考え方を織り込んだタイヤ」は、タイヤの生産から販売・使用・廃棄に至るタイヤのライフサイクルすべてにおいて、環境への負荷が少ないタイヤを開発していきます。既にバイオマス材料を採用したタイヤを開発・販売していますが、今後、さらにバイオマス比率を高めたタイヤを開発し、持続可能な社会や環境づくりに貢献していく計画です。

3つのバリュードライバー

企業の社会的価値・経済的価値を高めていくことを目指して「高機能商品の開発・増販」「新たな価値の創出」「ESG経営の推進」という3つのバリュードライバーを掲げました。
高機能商品の開発・増販では、国が重点産業として推進している高機能バイオマス材料“セルロースナノファイバー”を世界で初めてタイヤ用ゴムに採用し、性能持続技術を搭載した「エナセーブ NEXTⅢ」が高く評価されました。また、世界の主要市場で増えつつあるEV車両用のタイヤの開発につきましては、日米欧の三極開発体制により各地の自動車メーカーと連携し、独自の材料技術・設計技術によりEV車両の性能を最大限に引き出せるタイヤの開発を進めていきます。
新たな価値の創出では、当社独自のセンシングコア技術を活用したタイヤ空気圧管理サービスにより、お客様の安全・安心や業務効率化を含むコスト削減ソリューションサービスを提供していきます。タイヤそのものをセンサーに変える技術であり、付加的なハードウエアなどのセンサーを必要とせず、路面の滑りやすさやタイヤにかかる荷重などの情報を検知する技術です。この技術を発展させることで、入手したデータをクラウド経由で街・社会の情報に統合することで、路面やタイヤに起因する危険を事前に察知し回避することができます。外部パートナーとの協業によりタイヤだけにとどまらない価値を創出し、CASEやMaaSに対応したトータルソリューションを構築できるよう取り組んでいきます。

新企業理念体系「Our Philosophy」に込めた想い

写真:代表取締役社長 山本悟

現在のような不透明で変化の激しい環境に柔軟に対応し、さらなる成長を果たすためには、当社の存在意義を改めて明確にし、ブレない共通の指針として全社員をはじめとするすべてのステークホルダーと共有することが必要と考えました。単なる利益の追求だけでなく、社会や環境と共存しながら持続的に事業を行うことに重点を置いた判断基準として住友ゴムの存在意義(Purpose)を明確化し、意思決定の拠り所や行動起点のベクトルを合わせ、全社戦略実現に向けての大きな原動力、加速力を獲得したいとの想いから2020年12月、新企業理念体系として「Our Philosophy」を定めました。
当社は、400年の歴史がある住友グループの「住友事業精神」を意思決定の拠り所とし、これまでさまざまな事業活動を展開する中で受け継いできました。1963年に定めた最初の企業理念にも住友事業精神が織り込まれており、その後、時代や当社の変化点に合わせて内容を見直してきましたが、「企業の社会的責任を果たす」「グループ全社員の幸せを追求する」「お客様の期待に応える」といった、基本理念は変わらず引き継いできました。この基本理念を継承しながら、今回改めて体系化したものが「Our Philosophy」です。この体系の頂点にあるのが「Purpose」、すなわち存在意義であり、「未来をひらくイノベーションで最高の安心とヨロコビをつくる。」と定義しました。
また、「Our Philosophy」の世界観をシンプルに表したコーポレートスローガンも策定しました。コーポレートスローガンは、「ゴムの先へ。はずむ未来へ。」です。「ゴムの先」には、「ゴム技術の最先端」という意味と、「そこから広がる新たな技術開発や価値の提供」という二つの意味を込めています。「はずむ未来」には、ゴム素材の弾力性をモチーフに「住友ゴムの製品やサービスに関わるすべての人にはずむ心、はずむ笑顔をお届けしたい」という思いを込めています。今、私たちに求められていることは、住友ゴムで働く一人ひとりが地球環境を含め、人を、社会を、そして未来を支える「最高の安心とヨロコビ」をつくり出し、世界に提供するためにチャレンジを続けることだと思っています。そして、今回定義したPurposeをあらゆる意思決定の拠り所とし、仕事におけるすべての行動の「起点」とした経営をすることで、国際社会が目指す持続可能な社会の発展に貢献することにつながると考えています。
Our philosophyを体現するために、より高い安全・安心を提供できる未来のタイヤ・サービスの創出や、より環境への負荷が低い商品の開発など、既にさまざまなチャレンジをスタートしています。

住友事業精神に基づく社会貢献活動

当社では、400年の歴史を持つ住友事業精神に基づき、無料タイヤ点検活動、公益社団法人日本ユネスコ協会連盟様と協働プロジェクトとして実施している環境・文化保全活動である「チームエナセーブ未来プロジェクト」、社員の寄付金による「住友ゴムCSR基金」などさまざまな社会貢献活動を推進しています。なかでも、「みんながGENKI (元気)になる活動」として始まった社員によるボランティア活動「GENKI活動」は、30年以上継続実施しており、国内11カ所の「GENKIの森」では社員自らがどんぐりの苗を育て、植樹を行っています。また、希少な動植物の保全活動を行うなど、生物多様性保全活動にも取り組んでいるほか、さまざまなボランティア活動に毎年のべ約16,000人の社員とその家族が参加しています。これからも、地球と地域社会の皆様をGENKIにする活動をさらに推進していきます。
私たち住友ゴムは、経済的価値、社会的価値の双方の視点から新たな価値を創造することにより、持続可能で、安全・安心に働き、暮らしていける社会の実現に貢献しています。今後も、住友ゴムならではの事業活動によって、より高い経済的価値と社会的価値の創出に取り組んでまいります。