住友ゴムグループは、社会や環境と共存しながら持続的に事業を行うことに重点を置き、全社戦略実現に向けての大きな原動力、加速力を獲得すべく、2020年12月に新企業理念体系「Our Philosophy」を制定し、私たちの存在意義=Purposeを「未来をひらくイノベーションで最高の安心とヨロコビをつくる。」と定めました。Purposeをあらゆる意思決定の拠り所、行動の起点とすることで、経済的価値のみならず社会的価値の向上に取り組み、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
当社グループは、企業理念体系「Our Philosophy」を実現するため、バリューチェーン全体のリスクと機会を踏まえてマテリアリティを特定しています。特定されたマテリアリティのなかでも、「気候変動」「生物多様性」「循環型経済」は相互に深く関連しており、独立した対応ではなく総合的にアプローチすることが重要と考え、取り組みを行っています。
当社グループでは、水資源の適切な管理を重要な事業課題と位置づけ長期方針の項目の一つとしています。
また、TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures :自然関連財務情報開示タスクフォース)への対応として実施した自然に関する事業リスク・機会の評価でも、水資源・排水を事業における重要課題の一つとして特定し、バリューチェーンの地域性分析を実施しています。
当社グループではサステナビリティ経営推進本部を中心に、経営トップをはじめとした各部門と連携を図りながら、水資源の取組みを統合的に進めています。サステナビリティ経営を推進するにあたり、サステナビリティ担当役員を委員長、各部門担当役員を委員とする「サステナビリティ推進委員会」を年2回開催し、全社方針の徹底、マテリアリティの進捗確認等を実施しています。
サステナビリティ推進委員会傘下にワーキンググループとして部会を設置し、EMS部会、生物多様性部会は、そのひとつとして、部門横断の組織で取組みを進めています。
当社グループでは、世界的な水資源のひっ迫に対応するため、2050年度までに水リスクの高い工場を対象に工場排水の100%リサイクルを目指すことをサステナビリティ長期方針「はずむ未来チャレンジ2050」に定めています。その他の地域においても、取水量の削減および排水のリサイクルの取り組みを進めています。
当社グループでは、TNFDの提言に基づき、事業が自然へ及ぼす影響の分析を行いました。重要課題の特定にあたり、自然リスク評価ツールENCOREを活用して、タイヤ事業、スポーツ事業、産業品事業との関係が深い自然関連テーマのリスクを評価し調査することで、バリューチェーン全体に潜在する事業リスクを特定、事業に与えうる影響の大きさを考察・分析しました。
水資源の保全についても、この自然に関する事業リスク・機会の評価の中で確認をしています。一例として、工場付近の水資源が枯渇することによって事業の継続に悪影響を及ぼすリスクがあること、また、効率的な水利用の推進や水リサイクル設備を導入することで、コストの削減や環境負荷の低減が期待できます。
リスク
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機会
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政策・規制 |
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世評 |
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操業 |
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社内 |
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当社グループでは、水リスクを評価するツールとして世界資源研究所(WRI)が提供する WRI Aqueductによる方法に加えて、法令や取水制限といった項目別の独自基準で事業所のリスク評価を実施しています。
当社の生産拠点を対象にリスク評価を実施し、リスクの高い拠点を決定し、具体的な対策に取り組んでいきます。
工場別排水データは、主要非財務データ、および、各工場の環境報告書に掲載しています。
目標と実績は以下の通りです。
2024年の目標 | 取水量(原単位) 前年比 ▲1% |
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2024年の実績 | 取水量(原単位) 前年比 +1% |
2025年の実績 | 過去5年平均比 ▲1%(総量) |
中長期目標 | 水リスクの高い拠点での水リサイクル100% |
当社グループでは水リスクの高い世界7工場で工場排水の100%リサイクルを目指すことをサステナビリティ長期方針「はずむ未来チャレンジ2050」で定めています。
2024年タイ工場では第一・第二工場で工場排水のリサイクル100%を達成しました。他の工場でも水リサイクル100%に向けたシナリオを作成し、取り組みを進めています。
当社グループは、排水の再利用のために、排水処理装置の設置による排水の浄化をしています。
なお、排水の水素イオン濃度指数(pH値)・生物化学的酸素要求量(BOD濃度)・浮遊物質(SS濃度)などの水質に関する項目については、定期的に測定し管理しています。
社員が楽しく水資源に関する知識を深めることができる取り組みとして、毎年8月に水の日/水の週間 クイズを実施しました。水資源の重要性や当社の水の取り組みに関する問題を解くことで、社員の意識向上を図っています。