住友グループは明治時代から荒廃した愛媛県別子銅山の山々に植林を行い、自然を戻す活動に取り組んできました。住友400年の歴史のなかで受け継がれてきた「住友事業精神」をベースに策定した企業理念体系「Our Philosophy」をあらゆる意思決定の拠り所とし、社会貢献活動を進めています。
当社グループでは経営層および各部門と連携を図りながら、取り組みを進めています。従業員によるボランティア活動(GENKI活動)の中で植樹イベントを実施するなど、全社的に活動を推進しています。
当社グループでは、自然に関する事業リスク・機会の評価を進めています。
緑化活動については、消費者・社会や投資家からの評価に影響を及ぼしうるリスクと機会であると捉えています。
緑化活動については、組織の事業に影響を及ぼしうる影響として、生態系保全の取り組みが消極的であるとみなされた場合の顧客離れや企業イメージおよびESG評価の低下、投資家や金融機関からのダイベストメント等を想定しており、「自然共生サイト」認証の取得、絶滅危惧種等の保全活動などの対応策を進めています
目標と実績は以下の通りです。
2024年の目標 | 緑化活動:国内全拠点での里山保全およびどんぐり苗木提供活動の継続 |
---|---|
2024年の実績 | 植樹本数:7,634本 苗木提供本数:2,390本 「1 PAIR for 1 LOVEプロジェクト」植樹本数:2,400本 |
2025年の目標 | 緑化活動:国内全拠点での里山保全およびどんぐり苗木提供活動の継続 |
中長期目標 | 生物多様性保全、土砂災害防止、CO2吸収による地球温暖化防止に貢献するとともに、地域社会とのコミュニケーションや従業員のエンゲージメント向上等につなげる。 |
2024年度は国内11か所での森づくり、保全活動および苗木提供活動を着実に推進し、新たに宮崎県で1か所の森林整備、保全活動を開始しました。また、生物多様性においては、国内工場、本社、岡山タイヤテストコースの計8拠点で絶滅危惧種、準絶滅危惧種、希少種(動物5種、植物15種)の保全活動に取り組みました。
今後も地域社会とも協働しながら里山保全、絶滅危惧種等の保全活動を継続します。
森づくりの主な目的は、生物多様性保全、土砂災害防止、CO2吸収による地球温暖化防止などです。国内では各事業所周辺の緑化活動地を「住友ゴムGENKIの森」と称し、全国11カ所(32ha)で森づくり活動を実施しています。 植樹する苗木は生物多様性の保全を図るため、その地域で集めた種から育てたものに限定しています。森づくりのための下草刈り、間伐といった整備活動も継続しています。 里山保全は活動を通じた地域社会とのコミュニケーションも重要な目的の一つです。地域ごとの特色ある森づくり実現のために、従業員やその家族、友人、地域住民、地域団体などと協力しながら活動を進めています。
住友ゴムグループは2005年度に、緑化活動の一つとして、どんぐりを苗木に育て植樹する活動を開始しました。2007年度に、地域の方々や従業員の家族にもどんぐり集めにご参加いただけるよう「どんぐり銀行」を設立し、さらに2008年度にはこのどんぐり植樹活動を「未来を植える!どんぐりプロジェクト」へと拡大しました。以来、国内の8事業所で、どんぐり銀行に集まったどんぐりを事業所敷地内で育て、地域に植栽して育てていく活動を続けてきました。これからも、従業員やOB、地域の皆様が参加する環境保全活動として、国内全事業所で推進していきます。
市島工場は敷地内の原生林を活かし、生物多様性の観点から針葉樹と広葉樹の混交林化に積極的に取り組んできました。また敷地内における希少種保全活動も活発で、オオムラサキ育成においては2007年に幼虫の餌となるエノキを種から育て始め、2011年より自作のケージでオオムラサキの生育活動を開始。羽化に成功してからは近隣の園児を招待し、オオムラサキの観賞会を毎年開催しています。加えて絶滅危惧種であるホトケドジョウの危険分散地として承認された事を受け、敷地内のビオトープを活用したホトケドジョウの保護・生育活動も行っています。秋には近隣の園児を対象に工場敷地内でドングリ拾いを実施するなど、緑地を活用した地域交流・環境教育活動も盛んです。これらの活動が今回、高く評価されました。
名古屋工場では2010年より「GENKIの森」としてお須原山の定期的な下草刈りや植樹といった森林整備を続けています。2021年にはこの活動が評価され、お須原山がある東萩平町住民の皆様から、間伐材を使って作成された感謝状が贈られました。住友ゴムCSR基金の助成団体でもある「お須原山愛好会」との協働活動も頻繁に行い、名古屋工場では地域に根ざした森林整備活動を継続しています。
白河工場では2014年から赤面山の植林活動に参加しています。赤面山はスキー場だった斜面が廃業後放置され、荒廃地となっています。この活動は「赤面山を緑にする会」主体で進められてきましたが、2020年からは福島県主催の活動に発展しました。白河工場も当初は少人数での植林活動から支援を始めましたが、2019年にはヤシャブシの種を工場内で預かり、2年間育ててから山に戻すという活動を始めました。2019年にお預かりした種は2年後の2021年には30センチほどに育ち、130本の植林用苗木して、植林活動に参加の皆様と共に植樹を行いました。
神戸本社では構内にビオトープを設置して、ヘラノキ、アリマグミ、カワバタモロコなど6種類の希少植物と2種類の希少水生生物を保全育生しています。「六甲山渦が森」では、ドングリ類、ウツギ類など、これまで約1万本を植樹しました。また希少種ササユリやコバノミツバツツジなどの自生株の保全にも取り組んでいます。 これらの活動に対し、兵庫県内で行われている生物多様性保全・再生活動のモデルとなる代表的な活動として、2023年に「ひょうごの生物多様性保全プロジェクト」に認定されました。
白河工場は、1974 年に操業を開始して以来、約50年にわたり森林整備や絶滅のおそれがある植物の保全活動などさまざまな活動を続けています。
準絶滅危惧種「アサザ」やカタクリなどの希少な植物を保全していることが評価され。2024年に環境省の「自然共生サイト」に認定されました。また、里山「GENKIの森」も多様な植生物が生息・生育している優良なサイトであると評価を受けました。そのほか、工場で育てた苗木を市民へ提供するなど地域との交流を積極的に行っています。
絶滅危機にあるオランウータン保護のため、植樹活動を2010年から進めています。ゴム手袋の売上の一部を寄付する「1 PAIR for 1 LOVEプロジェクト」を通じて、マレーシア・ボルネオ島にある「ダンロップホームプロダクツの森」に植樹し、2024年は2,400本を植樹しました。