継続的成長を支える人材の育成

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基本的な考え方

人材育成の重要テーマとして、3つの人材タイプを定義しています。先行きが不透明で将来の予測が困難な変化の激しい時代には、迅速な意思決定ができ、変化に柔軟に対応できるリーダーシップをもつ「グローバル経営人材」。これまで、ゴム技術を基盤として社会にイノベーションを起こしてきたように、これからも新しい価値を提供し続けられる「イノベーション人材」。デジタル技術を活用し、より高度で効率的な意思決定や業務推進に加え、ビジネスに応用し、新たな価値を創出できる「DX人材」。これらの人材の継続的育成に努め、企業価値を向上させていきます。

グローバル経営人材の育成

変化の激しいVUCAな時代には、柔軟性と迅速な意思決定が求められます。そのため、不確実な状況下でも冷静に判断し、先見性を持って行動できる「グローバル経営人材」の育成が極めて重要です。
あわせて、チームを効果的に率い、変化に柔軟に対応できるリーダーシップも必要不可欠となります。
絶えず学び、自らを成長させることができる人材を育成できる仕組みを構築していきます。

イノベーション人材の育成

住友ゴムはゴム技術を基盤として社会に新しい価値を提供するイノベーションを起こしてきました。現在でも新しい技術として「Smart Tyre Concept」「水素エネルギーを活用したタイヤ製造」「高減衰ゴムを活用した制振技術」などを生み出し続けています。これからも新しい時代にイノベーションを起こし続けることができるよう、イノベーションに挑戦できる人材と風土を育てていきます。

DX人材の育成

デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスを根本から変革し、より高度で効率的な意思決定や業務推進をすることが求められています。この変革を成功させるためには、デジタル技術の知識だけでなく、ビジネスに応用し、新たな価値を創出できる能力や変化に柔軟に対応し、組織内でのデジタル化推進のリーダーシップを発揮することが求められます。こうしたDX人材を育成し、定着し、活躍できる仕組みを作り上げていきます。

ガバナンス

戦略・リスクと機会

リスク管理

目標と実績

取り組み事例

グローバル経営人材育成のための取り組み

役員層へのエグゼクティブコーチング

役員層のリーダーシップ向上と一枚岩化を目指し、リーダーシップに関する認識を深め、役員間での連携強化を目的としています。
社外エグゼクティブコーチを招き、執行役員以上及び一部の海外ナショナル経営幹部に対して月に一度、定期的なコーチングを実施し、経営課題や組織課題についてのディスカッションを行うことで、役員のリーダーシップ力向上や役員間の信頼関係・協力体制の強化が進み、組織の一体感の向上につながっています。また、エグゼクティブコーチを介した役員語る場も実施し、各役員の考えや思いを社員と共有する機会になっています。
今後も継続的に実施し、役員層のリーダーシップスキルのさらなる向上を目指すと共に、海外拠点でのコーチングも強化し、グローバルな視点でのリーダーシップ育成を推進します。

役員・管理職層及び課長代理のリーダーシップ向上サイクル

グローバル経営人材を育成するにあたり重要な要素となるリーダーシップを継続的に向上させるため、「知識のインプット」、「他者からのフィードバック」、「行動としてのアウトプット」というサイクルを年単位で回しています。
「知識のインプット」としてはリーダーシップやフォロワーシップ、コミュニケーションについての研修を整備しており、自身に必要な講座を自律的に受講しています。「他者からのフィードバック」へは、360度フィードバックと組織体質調査を活用しています。360度フィードバックを通じて自身のリーダーシップの癖や状態を客観的に見つめ、組織体質調査を通して、自身の所属する組織の状態を計測・可視化しています。これらのインプットとフィードバックを基に、具体的な行動計画を策定し、実行することで、「行動としてのアウトプット」に繋げています。
毎年実施している「組織体質アンケート」での「リーダーシップ」に関する社員の声は着実に良化しています。リーダーシップ設問全体のポジティブ回答率は73.2%と対前年0.9ポイント向上、その内「心理的安全性の確保」に関しては75.3%と対前年4.2ポイント向上しました。2024年度からは、自社の経営事例を振り返り、経営判断や意思決定力を向上させるための研修を開始しており、今後も拡充していく予定です。

タレントマネジメント

当社では、社員のタレントマネジメント(後継者管理・後継者育成)をサステナブルな経営人材の輩出や社員の成長のための重要な施策と位置付けています。
具体的な取り組みとして、社内取締役で構成される人事委員会(2022年より開始)にて、部長級以上の人材配置について毎月議論を行っています。また、全社の主要ポストを特定し、そのポストの後継候補を複数名選出、配置や育成について議論をしています。
また、一部の部門においてもその領域における重要ポストの候補人材を可視化し、領域全体の部門長でその配置や育成方法について議論しています。このような動きを全社に拡大し社員の成長を支援する取り組みを加速させていきます。その実行性確保のためにも、社員のスキル、キャリア志向を含む人材データ基盤の整備も継続して進めています。

イノベーション人材育成のための取り組み

イノベーション人材育成プログラム

イノベーション人材の育成と企業文化の変革を目的とし、新しいアイデアや技術を生み出すためのスキルや知識を持つ人材を育成し、イノベーションを推進する企業文化を醸成し、全社員が新しいアイデアを積極的に提案し、実行できる環境を整える取り組みを行っています。事務系・技術系問わず、イノベーションに興味がある方を対象に2023年からイノベーション人材育成プログラム「SRIイノベーションアカデミー」を開始しています。一連の講義を受講しながら新規事業を立案する産学連携カリキュラムとなっています。「イノベーション」「アントレプレナーシップ(起業家精神)」とは何かを知り、その進め方を学び、大学内の技術を活用する方法、社内ベンチャー、VC(ベンチャーキャピタル)投資の仕組みを学ぶことで、新しいビジネス創出の考え方や、自身の仕事に新しい発想をとりこむことにつなげています。2年目の2024年はプログラム参加者として6チーム22名が参加しました。最終的なアウトプットとして各チームが新規事業創出案を考案し、役員に最終ピッチ報告を実施しました。またオーディエンス参加者も毎回100名超がオンライン視聴しており、イノベーションマインドを体感しました。2024年度までは、イノベーションマインド醸成を主に教育してきました。今後は考え方やテクニカルな進め方、実践を通じたビジネスモデル推進スキル等、体系立てた教育を実施していきます。更に社員が考案した新規事業案を評価し、実際の事業化に繋げていく為の仕組み作りも進めていきます。

スペシャリストコースの適用

個々の働き方・生き方・価値観が多様化する中、性別やライフスタイルに依拠せず、多様なバックグラウンドの社員がモチベーション高くパフォーマンスを発揮できる環境整備のため、仕事基準の人事制度への見直しを段階的に進めています。
まずはそのファーストステップとして、管理職層を対象に2021年に仕事基準の人事処遇制度へ移行しました。従来、単線的であった管理職の制度をマネジメントコースとスペシャリストコースに分けて専門人材がより活躍できる枠組みとしました。2025年1月にはフェローとして、業界での第一人者として非常に高度な専門性を駆使し、当社事業推進に直結する戦略性・新規性の高い課題解決を牽引するスペシャリストを認定する運用を開始し、2名のフェローを任用しています。一般社員層を対象とした人事処遇制度の見直しも進めており、年功要素を薄め、仕事や成果基準で処遇される人事制度へと改定、2025年中の導入に向けて準備を進めています。

Challenge Awards Day

社員のモチベーション向上とイノベーションを促進し、チャレンジを推奨する風土づくりを目的とし、取り組みを表彰するイベントを開催しています。
表彰はテクノサイエンス賞・BTC(Be the Change)年間表彰・サステナビリティ表彰の3部門で行われます。
テクノサイエンス賞として、次世代への創造の芽を生み出していく基礎研究・技術開発・設備開発・生産技術などにおける革新的な内容に対して表彰を行っています。BTC年間表彰としては、組織体質と利益基盤のいずれかもしくは双方において大きな改善があった内容に対して表彰を行っています。サステナビリティ表彰は活動ガイドラインGENKI(G:Governance、E:Ecology、N:Next、K:Kindness、I:Integrity)の各部門において、サステナビリティビジョンである「わたしたちは、多様な力をひとつに、環境や社会にやさしい製品・サービスを提供することで、持続可能で「GENKI」な未来を創造します」において優秀な活動を表彰します。

2024年度は、社長賞の特別表彰もあり、「新技術アクティブトレッド搭載 シンクロウェザー発売に関わった全ての部門」が選ばれ実際のビジネスにおけるイノベーションへの貢献を称え、ヨロコビを分かち合いました。

 <2024年表彰実績>
・テクノサイエンス賞 最優秀賞1件、優秀賞6件
・BTC年間表彰 最優秀賞1件、優秀賞4件
・サステナビリティ表彰 最優秀賞3件、優秀賞11件、特別功労賞4件

DX人材育成のための取り組み

DX人材育成プログラム

DXリテラシー教育を行い、データに基づく意思決定や行動(データドリブン)の全社的な実現に向け、基盤づくりを進めています。
DX推進に必要な3つのスキル領域に合わせて、DXリテラシー教育をベースに、ビジネスコア(ビジネスにDXを適用させ推進)、プロ(AIを活用し高度なデータ分析を実行)、データエンジニア(必要なデータの収集・活用・管理を効率的に実施)の3コースで構成した人材育成を実施しています。
2024年末時点で、DXリテラシー研修の受講者は3,540名と目標「2025年までにスタッフ系全従業員約3,500人の受講」を達成しました。さらに、2024年5月から、知識・スキル・経験のデジタル証明となるオープンバッジを新たに導入しました。e-learningを通じたデジタルスキル習得に加え、PBL(課題解決型学習)やコンペティションなどの実践的な活動機会を拡充し、学びを価値創出に直結させる仕組みを整備しています。
DX人材育成を通した成果創出を強化するとともに、社内で専門知識を有する講師の育成を進めるとともに、社員同士が教えあい、学びあう文化を醸成する体制を構築してまいります。そして、個々の成長を組織全体の競争力向上へとつなげる好循環の仕組みを作り上げていきます。

RPAユーザー開発

当社では、定型的な事務作業の効率化を行い、より付加価値の高い業務にリソースシフトを図り、社員のデジタルリテラシーの向上に寄与することを目的として、RPAの活用を促進しています。社員が自らRPAツールを開発・活用できる環境を整備しています。プログラミング未経験からでも開発できるよう研修プログラムを提供しています。特に、e-learning形式のフレキシブルな研修やTeamsでの随時の質疑対応、社内の事例共有などのサポート体制を手厚くしています。2024年末までに523名が研修を受講完了し、757件のRPAユーザー開発が行われています。RPAユーザー開発とIT部門によるRPA開発を合わせると、業務時間が年間あたり9万4千時間削減され、より付加価値の高い業務に集中できるようになりました。さらに社員のデジタルリテラシーの向上にも寄与しています。今後もRPAの活用を推進し、さらなる業務効率化を図るとともに、社員のスキルアップを支援していきます。特に、AIとの連携を強化し、より高度な自動化を実現することで、企業全体の競争力を向上させることを目指します。

Tableauの活用

当社ではデータの可視化により迅速かつ高度な意思決定を可能にする文化醸成を目的として、セルフBIツール「Tableau」の活用を促進しています。
製造部門・SCM部門・販売部門・ソリューション部門など幅広く実務に活用しており、レポートの自動作成やダッシュボードを活用した分析を通じて、業務効率化・高度化に繋げています。さらに、現場が自らレポートやダッシュボードを作成することで、データ活用の文化醸成にも寄与しています。2024年は社内BI(Tableau)コンペティションを開催し、多数の社員が楽しみながらスキル向上する機会を提供しました。また、社内推進を加速させるために、認定資格である「DATA Saber」プログラムを導入し育成を進めています。2024年末時点で9名が認定されています。グローバル全体でのデータドリブン文化醸成のさらなる醸成に向け、グループ全体でのデータをシェアしやすい環境へのアップデートを計画しています。また、経営ダッシュボードなど、全社共通で利用するプロダクトの開発を本格化し、事業価値向上に繋がる取り組みに注力していきます。

人事部AIチャットボット「チャボ」の導入

社員から寄せられる問い合わせへの対応に人事部 AIチャットボット「チャボ」を導入し、人事業務の担当者からチャットボット「チャボ」が問い合わせ業務を代行することでDXを推進しています。「チャボ」の導入により、社員がいつでも気軽に質問できる環境創出による心理的負担の軽減や、業務や知識の属人化を防ぎ、問い合わせへの回答を統一化などに役立っています。社員がいつでも気軽に質問できる環境を創出し、心理的負担を軽減しています。また、業務や知識の属人化を防ぎ、問い合わせへの回答を統一化することにも役立っています。現在、月に約1000件の問い合わせが「チャボ」を通じて寄せられており、これまで問い合わせ対応をしていた担当者がよりコア業務に集中できるようになっています。今後はセキュリティを強化し、各種規程を取り込んで回答精度を向上させることで、「チャボ」の活用の範囲の拡大を図ります。

Digital Innovation Day

データドリブンな組織とするためのナレッジの共有、ユーザー同士のコミュニケーション活性化、そしてシナジー創出の起点とすることを目的として、各部門・拠点でのDX活動を共有、他社の取り組みを学ぶことで、今後のイノベーションにつながる新たなコミュニケーションを促進するイベントとして、2022年から毎年継続的に開催しています。
2024年は6月と10月にDigital Innovation Dayを開催し、6月は410名、10月は550名が参加しました。また、海外拠点では中国・タイでもDigital Innovation Dayが開催されました。今後も定期的に開催していき、全社のコミュニティー作りに繋げていきます。さらに、グローバルとも連携し、交流の場をさらに広げていくことを計画しています。

生成AI「Microsoft Copilot」の社内カスタマイズ利用

生成AI「Microsoft Copilot」を活用し、従業員の生産性向上と業務効率化を推進することを目的としています。「Microsoft Copilot」を社内業務に適用するため、各部門のニーズに応じたカスタマイズや研修、ワークショップの活動を実施しました。ドキュメント作成支援、データ分析の自動化、社内会議の効率化など、多岐にわたる業務プロセスにおいてAIを活用しています。活用促進に向けて、生成AIの活用方法を考えるワークショップや、e-learningを活用した学習機会を提供し、社内の理解を深めました。今後は、生成AIの活用範囲をさらに拡大し、より高度な業務プロセスの自動化や、新たなスキル開発プログラムの導入を進めていきます。また、AI技術の進化を踏まえ、社員の成長を支援する新たな取り組みを積極的に推進していきます。

<社外からの認定等>
・第2回オープンバッジ大賞「奨励賞(企業部門)」受賞(2024年、一般財団法人オープンバッジ・ネットワーク)
・「DX認定事業者」認定(2024年10月、経済産業省)
・「Dataiku Frontrunner Awards 2024」受賞(2024年10月、Dataiku)
・SFUG CUP2024 ファイナリスト選出(2024年5月、Salesforce)