住友ゴムは、「Our Philosophy」の「Purpose」である「未来をひらくイノベーションで最高の安心とヨロコビをつくる。」の体現のため、「Vision」として組織としてのありたい姿「多様な力をひとつに、共に成長し、変化をのりこえる会社になる。」を実現すべく人的資本経営を進めています。
多様な人材が総力を結集し、社員一人ひとりが持つ強みを活かして価値を生み出すことで、イノベーションを通じて最高の安心とヨロコビをステークホルダーの皆様に提供することができると確信しています。
当社は、人的資本を企業価値の重要な要素と位置付け、持続的な成長を実現するためのガバナンス体制を構築しています。
意思決定プロセスにおいて人事委員会を設置し、取締役会で人材戦略の方向性を定期的に審議しています。また、指名報酬委員会を通じて、主要ポストの選定と報酬の決定を行っています。
各部門では、DE&I推進やリーダーシップ向上施策を多層的に実施し、意思決定者の多様化を図っています。
従業員構成(性別、役職、年齢)、エンゲージメントスコアなどのデータを定期的に収集し、分析しています。
これに基づき、地域・部門ごとの具体的施策を計画しています。
例えば、女性管理職比率や組織体質アンケートのデータを活用し、組織変革プロジェクト研修を通じて各部での取り組みを推進しています。
年次レポートやサステナビリティ報告書で人的資本の指標を開示し、透明性を確保しています。
また、えるぼし認定やPRIDE指標ゴールドなどの社外認定を取得し、活動の評価を受けています。
当社は、これまで様々な技術革新を通じて、世界初・日本初の製品を数多く生み出してきました。主力ビジネスであるタイヤ事業においては、シミュレーション技術を駆使して開発したタイヤを「デジタイヤ」として市場に送り出してきました。2015年からは先端実験施設所有のスーパーコンピューターを活用した分子レベルで内部構造や分子運動を解析できる技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」を完成、導入し、さらなる革新を追求しています。
これらの取り組みからも分かるように、デジタル技術は当社にとってイノベーションを創出するために必要不可欠な要素です。この技術力と先進性は、タイヤ事業のみならず、スポーツ事業、産業品事業、データビジネスなど全ての分野で価値を生み出す源泉となっています。
また、当社は全ての事業の基盤となる「ゴム技術」をはじめ、当社独自の工法「太陽」をさらに進化させた「NEO-T1」に代表される「モノづくり技術」、ゴムの分子レベルの解析を可能にした「Advanced 4D Nano Design」に加えて、「市場に対応した開発力」や「総力を結集できる一体感のある組織」を競争優位の源泉と位置付けています。
当社では、「グローバル経営人材」・「イノベーション人材」・「デジタル革新人材(DX人材)」をこれら競争優位の源泉をさらに強固なものにし、成長事業のビジネス拡大を担う継続的成長を支える人材として位置付けています。変化の激しい時代に柔軟に対応し、未来を切り拓く人材の育成のための施策に取り組んでいます。さらに、こうした人材が活躍できる基盤の整備として、多様な属性や価値観を持つ一人ひとりが尊重され、働きがいを持つことができる風土作りを進めています。具体的には次の4つの戦略を掲げています。
先行きが不透明で将来の予測が困難なVUCAといわれる時代の中で、迅速な意思決定ができ、変化に柔軟に対応できるリーダーシップが求められます。そのため、不確実な状況下でも冷静に 判断し、先見性を持って行動できる「経営人材」の育成が極めて重要です。
住友ゴムはゴム技術を基盤として社会に新しい価値を提供するイノベーションを起こしてきました。これからも新しい時代にイノベーションを起こし続けることができるよう、イノベーションに挑戦できる人材と風土を育てています。
デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスを根本から変革し、より高度で効率的な意思決定や業務推進をすることが求められています。この変革を成功させるためには、デジタル技術の知識だけでなく、ビジネスに応用し、新たな価値を創出できる能力や変化に柔軟に対応し、組織内でのデジタル化推進のリーダーシップを発揮することが求められます。こうしたDX人材を育成し、定着し、活躍できる仕組みを構築しています。
Visionにもあるとおり、「多様な力をひとつに」することで組織としてのパフォーマンスが向上すると考えています。
特に人の持つ属性の多様性を高めることは年齢、性別、国籍、雇用形態など様々な社員が集まることで、異なる視点やアイデアが生まれ、イノベーションが促進されると考えます。
多様なチームは、幅広い解決策を生み出し、より柔軟で包括的なアプローチによる問題解決を行うことができます。一方で、多様性のみではなく個々人の パフォーマンスを高めることも重要です。
当社は、人材流出による知識・技術の損失、労働市場の変化による採用競争激化、労働問題発生とレピュテーションリスクを人的資本経営におけるリスクと捉え、リスク低減に努めています。具体的には以下のようなリスク管理を行っています。
まず、リスキリングプログラムの実施および職場環境の改善を通じて、離職防止に努めています。従業員のエンゲージメント向上を図り、働きやすい環境を整備しています。また、人事制度の見直しを行い、従業員が自身のキャリアを積極的に形成できるよう、キャリア支援の仕組みを整備しています。
さらに、採用プロセスの見直しを行い、多様な人材を確保するためにコース別採用、インターンシッププログラム、従業員紹介制度などを導入しています。これにより、優秀な人材の確保と育成を図り、2024年にはベースアップを実施することで、従業員のモチベーション向上にも努めています。
スキルミスマッチへの対応としては、タレントマネジメントシステムを活用し、従業員のスキルや適性に応じた早期かつ適切な配置を実現しています。これにより、従業員が自身の能力を最大限に発揮できる環境を提供し、組織全体のパフォーマンス向上を図っています。また、リーダーシップセミナーや各種研修プログラムを通じて、従業員のスキル向上を図り、タレントマネジメントを強化しています。
労働問題発生によるレピュテーションリスクの抑制については、企業倫理委員会を設置し、労働時間の管理を徹底することで、労働問題の発生を未然に防ぐ取り組みを行っています。これにより、企業の信頼性を維持し、レピュテーションリスクの抑制に努めています。企業倫理委員会は、従業員の声を積極的に取り入れ、公正かつ透明性の高い労働環境の構築を目指しています。
人材戦略 | 重点アクション | 指標 | 2023年 実績 |
2024年 実績 |
目標 | 備考 |
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経営人材育成 | 役員層へのエグゼクティブコーチング | コーチング受講者 | 21人 | 28人 | - | |
リーダーシップ向上サイクル | 組織体質アンケート「私の直属の上司は、私のキャリア、成長について話を聴き、一緒に考えてくれている。」ポジティブ回答率 | 69.9% | 70.6% | 2030年までに 80%以上 |
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組織体質アンケート「私の直属の上司は、私の成長を考え、成長のための機会や高い目標を与えてくれている。」ポジティブ回答率 | 74.5% | 75.6% | 2030年までに 80%以上 |
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組織体質アンケート「私の部署では、Bad News First/Fast(悪い情報を早く報告すること)が徹底できるようになっている。」ポジティブ回答率 | 83.2% | 83.2% | 2030年までに 80%以上 |
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組織体質アンケート「私の部署ではやめるべき業務を明確にして、断捨離の活動が進んでいる。」ポジティブ回答率 | 51.1% | 51.7% | 2030年までに 80%以上 |
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組織体質アンケート「私の部署では、心理的安全性が確保されている」ポジティブ回答率 | 71.4% | 75.6% | 2030年までに 80%以上 |
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イノベーション 人材育成 |
イノベーション人材育成プログラム | イノベーション人材育成プログラムへの参加者数 | - | 22人 | - | |
スペシャリストコースの適用 | フェローの任用数 | - | - | - | 2025年に 2名任用 ※2025年1月に 制度運用開始 |
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DX推進 | DX人材育成 | DXリテラシープログラム受講者数 | 2,220人 | 3,540人 | 2025年末までに 3,500人 |
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オープンバッジ・ビジネスコアコース取得者数 | 178人 | 2025年までに 480人 |
2024年より導入 | |||
オープンバッジ・プロコース取得者数 | 66人 | 2025年までに 70人 |
2024年より導入 | |||
オープンバッジ・データエンジニアコース取得者数 | 90人 | 2025年までに300人 | 2024年より導入 | |||
RPAユーザー開発 | RPA導入による業務効率化時間数 | 75.5千時間 | 94.2千時間 | 107千時間 | ||
Tableauの活用 | Tableauアクティブ率 | 62.0% | 67.0% | 75% | ||
全社員の多様性の拡大と パフォーマンスの向上 |
社員のパフォーマンス向上の取り組み | Our Philosophy浸透度調査「共感」または「実践」の比率 | 44.7% | 49.6% | 2030年までに 80%以上 |
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キャリアコンサルティング面談の年間利用件数 | 23人 | 67人 | 2030年までに | ※キャリアコンサルティングは23年7月1日開始 | ||
キャリアマッチングでの異動実績 | 20件 |