コーポレート・ガバナンスは、企業があらゆるステークホルダーに対し誠実に行動し、その利益を守るために必要不可欠な仕組みです。
住友ゴムグループは、企業市民として社会・経済の発展に貢献できる組織運営を目指して、あらゆる側面から、コーポレート・ガバナンスの充実に努めてきました。
今後も、グローバルカンパニーとして国際社会の声にしっかりと耳を澄ませ、先進的な取り組みにも積極的に挑戦していきます。
住友ゴムグループは、「住友ゴムWAY」を基礎に、すべてのステークホルダーに期待され信頼されるグローバルな企業として、快適で魅力ある新しい生活価値を創出し続け、持続的に企業価値を高めていくことを経営の基本方針としています。この方針のもと、コーポレート・ガバナンスの充実を重要な経営課題の一つと位置付け、課題実現に向けた取り組みを通じて、経営全般の効率性の確保、社会との信頼関係の強化、当社の公平性・透明性の向上を目指しています。
当社は監査役会設置会社ですが、コーポレート・ガバナンス強化の一環として、社外取締役を委員長、過半数を社外役員とする指名・報酬委員会を取締役会の任意の諮問機関として2016年から運用しており、役員指名などの手続きの客観性・透明性の向上を図っています。また、独立社外取締役を3名選任しているほか、取締役や監査役へアンケートを実施するなど、事業経営の透明性向上に努めています。
取締役会は、取締役と監査役全員で構成しており、経営上の重要な意思決定を行うとともに取締役の職務執行の監督を行っています。原則として毎月1回定期的に開催するほか、主に期末・中間決算時期など必要に応じて臨時に開催しています。2019年度は14回開催し、社外取締役出席率は98%でした。
取締役候補者は実効的なコーポレート・ガバナンスに資するか否か、取締役会構成員の知識・経験等の多様性が確保できるか否か等、当社の持続的な企業価値向上に資するか否かを勘案のうえ指名しています。
役員の指名や報酬決定において客観性・透明性を確保するための取締役会の任意の諮問機関で、さらなる企業価値の向上を図って2016年に設置しました。2019年度は3回開催し、指名については後継者育成、役員人事等、報酬については中長期的な業績と連動する報酬や株式報酬導入の検討、役員賞与等について議論を行いました。
委員は計9名で構成され、うち6名は社外役員であり、また委員長も社外取締役が務めています。2019年度の委員の出席率については96%でした。
当社グループ横断的なコンプライアンス・リスクの把握、分析および評価、研修の企画・実施、違反事例に係わる原因の究明や再発防止策の立案およびそれらの当社グループ内への周知徹底を行っています。
企業倫理担当役員(総務担当役員)、監査担当役員、法務担当役員、監査部長、人事総務部長、法務部長で構成され、委員長は社長が務めており、さらに常勤監査役2名がオブザーバーとして参加しています。2019年度は4回開催するとともに、当社グループ全体の企業倫理意識の向上を図るため、企業倫理講演会を開催しました。
監査役は、監査役会が定めた監査計画・方針に基づき、取締役会等重要な会議への出席、取締役や内部監査部門等からの職務状況の聴取、重要な決裁書類の閲覧、
本社および主要な事業所、子会社への往査を行うとともに、会計監査人とも適宜連携を取って業務を遂行しています。
監査役会は、監査役5名の体制であり、うち2名を常勤監査役として選定し、社内の重要会議に出席するほか、重要な決裁書類の確認を行っています。また、経営監査機能強化の観点から、5名のうち3名は社外監査役とし、公正で客観的な監査を行うことができる体制としています。監査役会は原則として毎月1回定期的に開催され、2019年度は12回開催し、社外監査役の監査役会出席率は97%でした。
取締役会から権限委譲された、経営上重要な事項の審議もしくは報告を通じて、迅速な経営判断を行っています。
社内取締役、常勤監査役および社長の指名した執行役員で構成され、議長は経営企画担当役員が務めています。2019年度は25回開催しました。
当社グループのリスク管理活動を統括し、事業リスクなどのリスクが認識され、議論され、かつリスク管理体制が有効に機能しているか適宜調査・確認しています。
管理・研究設計開発・製造・販売それぞれの機能および各事業部の担当役員で構成され、委員長は社長が務めており、さらに常勤監査役2名がオブザーバーとして参加しています。2019年度は2回開催しました。
役員 | 氏名 | 選任理由 | 2019年度 取締役会出席状況 |
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社外取締役 | 高坂 敬三 | 企業法務に精通した弁護士としての豊富な知見と、弁護士法人色川法律事務所代表のほか、東洋アルミニウム(株)、積水化成品工業(株)、(株)テクノアソシエにおける社外監査役として企業経営に関与した経験を活かし、客観的見地から有益な提言や意見表明を行っており、当社のコーポレート・ガバナンスの向上が期待できるものと判断し、選任しております。 | 14回中14回 |
村上 健治 | 大和ハウス工業(株)において代表取締役社長、代表取締役副会長として企業経営に関与した経験を活かし、企業経営全般に対し有益な助言や意見表明を行っており、当社のコーポレート・ガバナンスのさらなる向上が期待できるものと判断し、選任しております。 | 14回中14回 | |
小林 伸行 | 住友電気工業(株)において主に経理・財務部門に従事し、同社の常務取締役を務めるなど、経営者としての豊富な経験と幅広い見識を有しており、当社のコーポレート・ガバナンスの向上が期待できるものと判断し、選任しております。 | 2020年3月就任 |
役員 | 氏名 | 選任理由 | 2019年度 取締役会出席状況 |
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取締役会 | 監査役会 | |||
社外監査役 | 村田 守弘 | 公認会計士・税理士としての財務および会計に関する相当程度の知見と、カゴメ(株)における社外取締役(監査等委員)およびコクヨ(株)における社外監査役として企業経営に関与した経験を活かし、社外監査役として客観的見地から取締役の業務執行に対して意見表明を行っており、当社の監査体制の強化に資するものと判断し、選任しております。 | 14回中13回 | 12回中11回 |
アスリ・チョルパン | 経営戦略や企業統治を専門とする大学教授としての高度な学術知識と、(株)グルメ杵屋およびNISSHA(株)における社外取締役として企業経営に関与してきた経験を活かし、社外監査役として客観的見地から取締役の業務執行に対して意見表明を行っており、当社の監査体制の強化に資するものと判断し、選任しております。 | 14回中14回 | 12回中12回 | |
安原 裕文 | パナホーム(株)(現パナソニックホームズ(株))において代表取締役のほか、パナソニック(株)常任監査役、参天製薬(株)社外監査役として企業経営に関与してきた経験から、企業経営に関する豊富な見識を有しており、当社の監査体制の強化に資することを期待し、選任しております。 | 2020年3月就任 |
住友ゴムは、業務の適正を確保するために必要な体制(以下、内部統制システム)の整備に関し、取締役会で次のとおり決議し、適切に運用しています。
当社文書管理規定に従い、起案決裁書等、取締役の職務の執行に係る情報を記録し、適切に管理する。当社取締役および当社監査役は、これらの記録を随時閲覧できるものとする。
当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす恐れのある品質、法律、環境、与信、事故、災害等の経営リスクについては、当社グループ全体のリスク管理について定めるリスク管理規定に基づき、それぞれの担当部署および各子会社において事前にリスク分析、対応策を検討し、当社の経営会議等で審議する。リスク分析・対応策の検討に当たっては、必要に応じて顧問弁護士等の専門家に助言・指導を求める。
当社グループ横断的なリスクについては、当社管理部門の各部が、それぞれの所管業務に応じ関連部署および各子会社と連携しながら、グループ全社としての対応を行う。
リスク管理委員会は、当社グループ全体のリスク管理活動を統括し、リスク管理体制が有効に機能しているか適宜調査・確認する。
当社グループにおいて重大なリスクが顕在化し、または顕在化が予想される場合には、危機管理規定にもとづき、当社社長が危機管理本部を設置する。
取締役や管理職等の職務執行が効率的かつ適正に行われるよう、当社では職制および業務分掌規定において担当部署、職務権限および各組織の所管業務を定め、各子会社にもこれに準拠した体制を構築させる。
また、当社では執行役員制を採用し、環境変化や顧客ニーズに応じた機動的な事業運営を行う体制とする。
なお、各部門・各子会社の業績や効率性については、中期経営計画等を策定するとともに、予算会議において目標を設定(目標は四半期ごとに見直す)し、グループ業績会議において月次単位で達成状況を報告させ、把握・分析する。
当社グループの業務全般においてITの活用を推進し、職務執行の効率化を図る。
住友ゴムグループの企業理念、住友ゴムWAY、企業行動基準や各種コンプライアンス・マニュアルの当社グループ全体への浸透に努めるほか、経営トップの指針を明示して、法令遵守、企業倫理の維持が経営の根幹をなすものであることを当社グループ全体に徹底する。
当社社長を委員長とする企業倫理委員会において、当社グループ横断的なコンプライアンス・リスクの把握、分析および評価、研修の企画・実施、違反事例に係わる原因の究明や再発防止策の立案およびそれらの当社グループ内への周知徹底を行う。
企業倫理ヘルプラインを設置し、企業倫理上疑義のある行為等について、当社グループの従業員等が直接通報・相談できる体制とする。企業倫理ヘルプラインに寄せられた情報については、企業倫理委員会において、状況把握を行い、必要な対策をとるものとする。
住友ゴムグループの企業行動基準に、反社会的勢力との関係を一切遮断することを規定し、反社会的勢力からの一切の要求を拒絶する体制とする。
当社の所管部署は子会社各社の業績等の目標およびその達成状況について各子会社の取締役等から定期的に報告を受けるとともに、関係会社管理規定に基づき、当社の経営会議、取締役会に付議すべき事項やリスク管理、コンプライアンス等に関する一定の事項について適宜報告を受け、または必要により当社と協議する体制をとるものとする。
金融商品取引法および金融庁が定める評価・監査の基準ならびに実施基準に沿った内部統制システムの整備を進め、当社グループの財務報告の適正性を確保するための体制の一層の強化を図る。
当社監査役の業務を補助すべき専任者として監査役付を配置し、もっぱら当社監査役の指揮命令に従うものとする。
また、監査役付の人事異動、人事評価に際しては、あらかじめ監査役会に意見を求めるものとする。
当社常勤監査役は当社の経営会議その他の重要な会議に出席し、当社グループの状況を適切に把握することとする。
リスク管理上重要な事項等については、当社グループの取締役または部門長等から適宜当社監査役に報告する体制とする。
企業倫理ヘルプラインに通報された事項(軽微なものを除く。)は、当社監査役会に報告する。当社グループ各社を適用対象とする企業倫理取り組み体制に関する規定において、企業倫理ヘルプラインへの通報者に関する事項の守秘、通報者への不利益な取り扱いの禁止をするなど、当社監査役へ報告したことを理由とした不利益な取り扱いを禁止する体制とする。
当社監査役が当社グループの取締役または部門長等からヒアリング等を行う機会を適宜確保する。
当社監査役の職務執行について生ずる合理的な範囲の費用については、臨時での出費を含め、当社に精算を請求できる体制とする。
(2020年3月26日現在)
組織形態
監査役会設置会社(任意の「指名・報酬委員会」を設置)
住友ゴムは、取締役会の実効性向上のため、2016年、および2018年以降は毎年、取締役および監査役全員を対象に取締役会の構成や運営状況等に関するアンケート調査を実施し、その結果をもとに取締役会において議論を行っています。2019年度は9月から10月にかけて実施し、12月に議論を行いました。その結果、取締役会の構成人員や人数、開催頻度や審議時間等の運営状況、取締役会における審議等の実施状況および業務執行の監督の状況等の各方面において、取締役会の実効性が概ね確保されていることを確認しました。
また、前回提言のあった社外役員への情報提供の充実については、2019年から経営会議・企業倫理委員会・リスク管理委員会に関する情報の共有を強化し、取締役会での議論活性化につながったことを確認しました。
今後も取締役会の環境を整備し実効性を高めるための施策を必要に応じて実行していきます。
アンケート 実施年度 |
課題 | 施策(アンケート実施年度の翌年度に実施) |
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2017年以前 |
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2018年 |
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2019年 |
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当社は、取締役および執行役員の報酬の構成は基本報酬および賞与とし、基本報酬は職位・職務内容・責任・会社業績等を総合的に勘案して決定しています。取締役報酬については株主総会において承認された枠内で支給しています。賞与は会社業績および職務遂行に対する業績評価に基づき配分額を決定しています。監査役の報酬については、株主総会において承認された報酬額の枠内で監査役の協議により決定し、支給しています。株式報酬におけるインセンティブ付けは行っておりませんが、役員持株会を通じた自社株取得の奨励や、賞与において中長期計画の達成状況を勘案するなど、当社の持続的な成長につながるようなインセンティブ付けを行っています。中長期的な業績と連動する報酬や株式報酬については、株主との対話を通じ、当社にとって最適な導入時期や形態等の検討を引き続き進めていきます。取締役および執行役員の報酬は、独立社外役員を過半数とする「指名・報酬委員会」で客観的かつ公平に検討し、取締役会への答申を経て決定しています。
区分 | 支給人員 | 支給額 |
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取締役 | 13名 | 526百万円 |
監査役 | 6名 | 76百万円 |
注1取締役および監査役の報酬などの限度額は、2015年3月26日開催の第123期定時株主総会において、取締役については年額800百万円以内(うち社外取締役分は年額70百万円以内)、監査役については年額100百万円以内と決議いただいております。
注2上記支給人員には、2019年3月26日付で退任した取締役1名および監査役1名が含まれております。
当社グループでは、次世代経営幹部と海外拠点経営幹部の育成に注力しています。
「視点:経営者としてのものの見方」「知識:経営に必要な基礎知識」「考え方:クリティカルシンキング」などのスキルを身に付けるため、「マネージメントスクール」を設けています。2003年より開始し、毎年20名程度を選抜、1年を通じて講座を開設しています。最終回には経営陣参加のもと、将来の事業展開などの報告会を実施、次世代経営層の育成にあたっています。
当社は「企業行動基準」の一つである「社会的規範の遵守」をもとに「法令や社会的規範、社会的良識に基づいた企業活動を行う」ことを指針として、「取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制、その他当社の業務並びに当社およびその子会社から成る当社グループの業務の適正を確保するため必要な体制」を整備し、コンプライアンスの徹底、浸透を図っています。コンプライアンスについては、企業の社会的責任を果たすため、法令・定款を遵守し、企業倫理の確立と経営の健全化の確保に努めることを基本として、2003年2月に「企業倫理取り組み体制に関する規定」を制定しました。さらに同規定に基づき、社長を委員長とする「企業倫理委員会」を設置し、年4回の委員会開催を通じ当社グループのコンプライアンス体制の強化を図っています。併せて、企業倫理ヘルプライン(相談窓口)として、社長直轄の「コンプライアンス相談室」を設置し、当社グループ内で問題が発見された場合には、相談者が不利益を被らないよう十分配慮した上で、「企業倫理委員会」を中心に事実関係の調査を進める体制を整えています。また必要に応じて顧問弁護士の助言を得るなど、適法性にも留意しています。