バリューチェーン、外部環境、リスクと機会

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住友ゴムグループのリスクと機会、バリューチェーン

持続的成長に向けて、中長期的な事業機会を着実に成長につなげるとともに、持続的成長の阻害要因となるリスクを見極め、その低減に努めています。ここでは、今後の事業環境の変化を見据えたリスクと機会、発揮していく強みと今後の展開、さらにはバリューチェーンの現状認識とその課題への取り組みについてご紹介します。

タイヤ事業

経営課題

  • グローバル体制の成果最大化と北米の利益改善
  • 市場ニーズや高まる要求性能に対応する新商品開発と高機能商品の増販
  • CASE/MaaSに対応したビジネス展開
  • ESG経営推進
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強み
  • 世界初の空気入りタイヤ実用化から130年超の歴史と世界的な知名度を誇るDUNLOPブランド
  • 低燃費タイヤの開発技術と豊富なラインアップ
  • グローバル体制の3つの柱(グローバル製造・販売・サービス拠点・日米欧三極開発体制・グローバル需給体制)
  • 最新鋭のスーパーコンピュータなどを活用した世界最高レベルのシミュレーション連携解析
  • 累計5,000万台以上に採用実績のあるタイヤ空気圧センシング技術
  • 石油外天然資源タイヤ開発で培ったバイオマス技術
成長機会
  • 先進国では、SUVやライトトラック向けの大径タイヤが好調
  • 世界的なタイヤ需要増加。特に、EVタイヤの需要拡大
  • 自動車の環境規制強化や地球環境保全意識の高まりによる天然資源タイヤや低燃費タイヤへの需要拡大
リスク
  • より持続可能な材料を使用したタイヤや低転がり抵抗のタイヤなどのグローバルな開発競争が激化
  • パンデミックや自然災害による経済の低迷
  • 新興国メーカーの台頭による競争激化
  • 原材料、石油価格、海上輸送運賃の大きな変動
  • 政情不安など地政学的リスク
  • 気温上昇、降雪量減少に伴う冬タイヤの需要変動
住友ゴムグループの取り組み
  • 需要拡大するSUV用タイヤなど高機能タイヤの増販
  • 北米で稼ぐ体質に変革
  • タイヤ開発および周辺サービス展開のコンセプト「SMART TYRE CONCEPT」の具現化
  • より環境負荷の少ないタイヤ開発
  • タイヤ関連ソリューションビジネスの推進
  • サーキュラーエコノミーの構築
  • EVタイヤ・低燃費タイヤによる脱炭素推進への貢献
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現状認識 住友ゴムグループの取り組み
商品開発
  • 持続可能な社会の実現に向け、タイヤ業界では、化石資源から再生可能資源への転換、リサイクル素材の活用などによる環境負荷低減を狙った商品開発がグローバルに激化しています。
  • 次世代クルマ社会の鍵を握るCASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)に向け、タイヤは、タイヤ空気圧監視システム(TPMS)や、メンテナンスに関わる安全・安心の付加価値サービス提供など高機能化していきます。
  • 「SMART TYRE CONCEPT」を核とした次世代型技術・製品の開発
  • アクティブトレッド技術搭載タイヤの開発
  • センシング技術を活用したTOWANOWA構想によるソリューションビジネスの推進
  • サステナブル原材料(バイオマス+リサイクル)比率の拡大※1
  • スーパーコンピュータ「富岳」をゴム材料シミュレーションに活用
  • ゴム製品業界(国内)特許資産ランキングで第一位※1
  • ゴム品質の改良
  • グローバルな開発体制をさらに強化
調達
  • タイヤの主要な材料の一つが天然ゴムで、世界の天然ゴムの産出量の約70%がタイヤに使用されています。最も良質な樹液(ラテックス)を大量に出すパラゴムノキは南米アマゾン川流域が原産で、生育エリアは赤道を中心に北緯15度、南緯15度にまたがる「ゴム帯」、気候変動の影響を受けやすい熱帯地方であり、世界の生産量の約8割が東南アジアに集中しています。
  • 天然ゴム調達に関わる社会課題には、気候変動問題、森林などの生態系・生物多様性への影響、人権や労働者の権利などがあります。
  • 「持続可能な天然ゴム方針」の遵守※1
  • 調達ガイドラインに基づくCSR調達の推進※1
  • 取引先の環境リスク対応状況調査の実施
製造/供給
  • 半導体不足の影響による自動車生産台数減の影響や、一部地域の市況悪化による需要減退などにより、減産が発生しました。
  • 今後も、持続的な成長には海外生産の拡大が欠かせないため、スキル・ノウハウの浸透をはじめとする人材育成が重要となります。
  • 今後は、タイヤ製造のカーボンニュートラル化に向け、積極的な取り組みを進めていきます。
  • 固定費削減やSKU(商品サイズ数)整理による工場の収益性改善
  • 工場の環境負荷低減※1
  • グリーン物流※1
  • 完全ゼロエミッション継続※1
  • 世界同一品質の追求
  • 更生タイヤの拡販・廃タイヤの再利用
販売/アフターサービス
  • タイヤ販売においては、販売体制に加え、アフターサービス体制も重要です。当社では国内・海外で販売・サービス体制を整備しています。商品力向上、販促活動に加え、販売・サービス体制の拡充を通じ、ブランド価値向上につながると考えています。
  • グローバル販売・サービス網の整備・拡充※1
  • ブランド価値の向上※1
  • 市販用EVタイヤの上市
  • TOWANOWA構想によるデータ活用と持続可能性の追求
  • DXによる在庫効率化の推進※1
  • 商品・サービスの改善に活かすお客様の声収集※1
  • 低燃費タイヤの拡販

※1スポーツ事業や産業品事業にも関わる項目

スポーツ事業

経営課題

  • グローバル体制の成果最大化
  • 市場ニーズや高まる要求性能に対応する新商品開発
  • 「ダンロップ」ブランドの価値向上を図り、その効果を住友ゴムグループ全体へ波及させ、シナジーを創出
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強み
  • タイヤ開発で培った技術を背景に、最新鋭のスーパーコンピュータを駆使するなど、卓越した技術・開発力に裏打ち・差別化された商品やサービスを提供
  • 世界最高峰のプロツアーを舞台に磨き上げた商品力とブランドビルディング
  • ユーザーニーズに基づく徹底したマーケティングの実践とそれを支えるグローバルマーケティング力
  • 「ダンロップ」ブランドの世界での商標権獲得に伴う事業機会の拡大
成長機会
  • ゴルフ:最大市場の北米で事業拡大余地
  • テニスを中心とするラケットスポーツ:テニスボールで培った販売力、ダンロップのブランド力、技術開発力
  • 健康やフィットネスに関する意識の高まり、健康志向の強いミレニアル世代の経済力向上
  • お客様のスポーツライフをもっと豊かにすべく、スポーツの持つ多様な価値や可能性を追求
  • AI、IoTを活用したコト・サービス領域への事業拡大
リスク
  • 地政学的リスクに伴う経済の不安定さによる先行き不安に起因する余暇関連支出の抑制
  • 原材料の高騰
  • 気温上昇など気候変動による屋外スポーツ実施環境の悪化
  • 世界的生産能力余剰に伴う、価格競争激化
  • 日本市場における海外ブランドの台頭によるシェア縮小
住友ゴムグループの取り組み
  • ゴルフ:特長のある「ゼクシオ」「スリクソン」「クリーブランドゴルフ」の3ブランドを極め、高機能商品を開発・増販
  • テニス:テニスボール世界第3位の基盤に、ゴルフでのブランドビルドのノウハウを活かした「ダンロップ」ブランド価値向上
  • 環境負荷の少ない製品開発で他社との差別化を図る
  • 「ダンロップ」ブランドの価値向上を図り、住友ゴムグループ全体へと波及させ、シナジーを創出
  • デジタル技術を活用したサービス商品の需要拡大
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バリューチェーンの現状と取り組み
現状認識 取り組み
  • 新型コロナウイルス感染拡大で、健康に対する意識の向上やスポーツの役割や重要性が改めて見直されました。三密を避けられるレジャーとして特にゴルフが注目され、新規参入が増えるなど世界的に需要が高まりました。市況はひと段落を迎えている状況です。フィットネスを中心としたウェルネス事業は、 新型コロナウイルス感染拡大の影響から徐々に回復に向かっています。
  • 持続発展可能な社会の実現に寄与すべく、環境課題解決に向けた取り組みに加え、スポーツ事業を通じあらゆる年齢の人々の心身ともに健康で豊かな生活の実現に貢献することが、企業の社会的責任としてますます求められていると考えます。

<商品開発>

  • スポーツのヨロコビが増加するような、高性能で感性に訴える製品開発
  • 耐久性の高い製品、バイオマスやリサイクル素材を開発・採用するなど、環境負荷の少ない製品開発

<調達/製造/供給>

  • プラスチック使用量削減のためテニスボールに使用するPET缶のプラスチック製ふたを一部廃止。ラベルをプラスチック製シュリンク包装から紙製に変更
  • 工場やウェルネス拠点における省エネの取り組み

<販売/サービス>

  • ゴルフ事業における「ダンロップ」ブランド価値向上の取り組みが加速
  • 徹底した感染症対策のもと、スポーツジム運営、介護予防サービスの安定提供

産業品事業

経営課題

  • ゴム技術をベースとした品質や機能面での高付加価値製品研究開発体制の強化
  • 日本国内、アジアを中心とした海外展開による、市場の成長機会取り込みの加速
  • 社会の変化に適応した、継続的な事業ポートフォリオ最適化
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強み
  • タイヤ事業で培ったゴム技術をベースとした研究開発体制
  • インフラ整備や災害リスク低減、ヘルスケア分野など、社会貢献性の強い事業分野を中心とした市場との幅広い接点
成長機会
  • 医薬品の世界的な市場拡大による医療用ゴム製品の持続的な需要増加
  • 自然災害への関心の高まりに伴う各種市場での地震対策ニーズの増加
  • サステナビリティ志向の世界的な高まりによる新たなニーズの勃興並びに企業活動における非財務側面の重要性の高まり
  • パンデミックによる世界的な安全・衛生意識の高まり
リスク
  • 原材料の高騰
  • 世界情勢、パンデミックに伴う需要変動、サプライチェーンへの影響
  • 政策の変化、民間企業の投資支出の抑制
住友ゴムグループの取り組み
  • 医療用ゴム製品の需要増加に適応した生産能力の拡大
  • 制振ダンパーの導入による地震対策への貢献
  • 社会の変化に適応した継続的な事業ポートフォリオ最適化
  • 事業分野の裾野の広さやグループリソースを活用した将来ニーズに適応する新規事業分野の探求
  • 非溶剤化、生物由来材料の使用など、環境配慮型の製品開発
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バリューチェーンの現状と取り組み
現状認識 取り組み
  • サステナビリティ志向の高まりなどの変化に伴い、世界情勢やパンデミックへの対応も含めて、事業活動を通じた社会の持続性への貢献の重要性が高まっており、注力すべき事業分野や商品開発の適切な見定めが必要となっています。
  • 医療ニーズに貢献する医療用ゴム製品事業、地震や台風などの自然災害対策に寄与する制振ダンパー事業を引き続き注力分野と位置付け、グローバル展開の拡大
  • インフラ事業のスポーツ人工芝ビジネスでは、マイクロプラスチック※2流出を抑制するため環境省や地方自治体と連携し、業界に先駆けた公共施設での実証実験を実施
  • 手袋事業では、環境にやさしい天然ゴム製手袋の販売に注力し、カーボンフットプリントの製品パッケージ上への表示を開始予定

※25ミリ以下の微小なプラスチック