知的資本

  • 住友ゴムグループ

知的資本(研究開発、知的財産戦略などについて)

研究開発費:25,447百万円
国内・海外の特許実案件数:9,983件

ゴム素材の可能性を信じて最先端のゴム技術開発に挑み、さまざまな世界初を生み出してきたように、住友ゴムグループは、タイヤ、スポーツ、産業品事業の幅広い分野で研究開発を推進し、競争優位な製品群や新たな成長の原動力を創出しています。このイノベーションを支えていくため、住友ゴムグループは、売上収益の2.5%にあたる273億円を研究開発費として投入しました。

企業、大学、研究機関などとの協力関係を構築し、共同開発にも取り組んでいます。2022年には日本電気株式会社(NEC)と協業で、タイヤ開発における匠(熟練設計者)のノウハウのAI化を行いました。また、東京工業大学 石井佳誉教授、理化学研究所 大内宗城客員研究員らと共同で、ゴムに高温・高圧を加え硫黄と化学反応させるゴム加硫法の謎を解明するなど成果を上げています。株式会社パテント・リザルトの2022年11月の調査で、保有する特許資産を質と量の両面から総合評価した「ゴム製品業界 特許資産規模ランキング」で1位となっています。

知的資本の状況

  2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022
研究開発費(百万円) 24,257 25,720 25,780 26,198 24,215 25,447 27,259
売上収益対研究開発費比率(%) 3.2 3.8 2.9 2.9 3.1 2.7 2.5
国内・海外の特許・実案件数(件) 8,761 9,183 9,199 9,156 10,063 9,983 10,290

知的財産戦略

グループ事業支援のための知的財産活動を積極的に行っています。 具体的には、次の3点を知的財産活動の基本的な柱としています。1点目は、特許、実用新案、意匠、商標を中心とした産業財産についての「権利を取得」することです。2点目は、それらの当社の権利を侵害する行為に対して「権利を活用」することです。そして3点目は、第三者からの攻撃に備えて防御する体制を整えることで「リスクを排除」することです。また、急速に海外事業拡大を進めるなかで、知的財産活動業務に関しても、日本のみならず米国、欧州はもちろんのこと、中国を筆頭としたアジア諸国、ロシア、南米、中近東、アフリカなど世界中に拡大しています。
グローバル化に対応した知的財産活動を行うために人材育成と仕組みづくりを強化しています。例えば知的財産部員の教育・訓練によるレベルアップはもとより、各拠点のスタッフの知財マインドとレベルアップを行うことでグループ全体において円滑に知的財産活動が行えるような体制づくりを行っています。特に欧州には知財駐在員を配置することでより有効な権利の獲得に注力しています。
今後も3つの柱を基本としたさらに効率の良いグローバルな知的財産活動を推進します。

研究開発活動

住友ゴム工業の研究開発組織・施設を核として、世界各地に所在する子会社・関連会社群との密接な連携のもと、タイヤ・スポーツ・産業品他事業の幅広い領域・分野で研究開発を推進しています。タイヤ事業におけるタイヤ技術研究開発では、神戸本社に隣接したタイヤテクニカルセンターを中心に、欧州・米国のテクニカルセンターと連携して、「タイヤが地球環境のために貢献できること」をテーマにして、「原材料」「低燃費性」「省資源」の3つの方向性で環境配慮商品の開発に取り組んでいます。
特に「より高い安全性を備え、環境負荷低減に貢献できるタイヤ開発」については、2012年からスーパーコンピュータ「京」を、2021年からはその後継機である「富岳」を活用したシミュレーションをゴム材料の研究開発に取り入れるなど、先進的な取り組みに挑戦しています。
スポーツ事業では、スポーツ事業本部並びに米国のRogerCleveland Golf Company, Inc.に研究開発部門を設置しており、コンピュータシミュレーション技術等を用いて新技術・新商品の開発並びに評価、試験に取り組んでいます。
産業品他事業では、高減衰ゴムを用いた制振事業、医療用ゴム製品、OA機用ゴム部品等の商品において、消費者ニーズに合わせた商品開発に積極的に取り組んでいます。

テクニカルセンターTTC

TOPICS

スーパーコンピュータ「富岳」利用を開始

当社は令和3年度HPCIシステム利用研究課題募集における「富岳」産業課利用枠に採択されました。2015年に独自のタイヤの新材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN(アドバンスド フォーディ ナノ デザイン)」を確立し、タイヤの主要性能である低燃費性能、グリップ性能、耐摩耗性能を向上させるゴム材料の開発を行ってまいりました。「富岳」を利用することで「ADVANCED 4D NANO DESIGN」を進化させ、今後進展していくCASE/MaaSといったモビリティ社会にさらに貢献してまいります。

産学連携による共同研究の取り組み

住友ゴムグループは先端技術を有する大学との産学連携の活動による新技術開発に取り組んでいます。

連携先 最近の主な取り組みテーマ
東北大学 ゴム破壊のX線CT撮影の約1,000倍速化
関西大学 「タイヤ内発電技術」を利用した摩耗推定技術を開発
東北大学
金沢大学
理化学研究所
天然ゴム合成酵素と同類「トマト由来酵素」の構造を解明