タイヤ・スポーツ・産業品事業での商品・技術開発

取り組みの一部をNewsPicsにて紹介しています

maas時代のタイヤ
王者のゴルフボール
熊本地震でも半壊0、全壊0

安全走行のためのランフラットタイヤの開発

  • 住友ゴムグループ

当社では、安全性の向上のため、走行中、完全なパンク状態(空気圧ゼロ)になっても、所定の速度で一定の距離注1を走行できるランフラットタイヤの開発とさらなる普及に取り組んでいます。
当社独自の次世代新工法「NEO-T01」と材料開発技術「4D NANO DESIGN」により、高い快適性と環境性能注2、安全性能を実現したプレミアムランフラットタイヤ「DUNLOP SP SPORT MAXX 050NEO」を日本で、「FALKEN AZENIS FK510RUNFLAT」を日本・欧州などで販売しています。
その他にも従来工法で製造したランフラットタイヤ「DUNLOP SP SPORT MAXX 050+」、「ZIEX ZE914 ECORUN RUNFLAT」、「EUROWINTER HS449 RUNFLAT」も販売しており、今後もより安全なカーライフをお客様にご提供できるよう、商品の拡充に努めていきます。

注1速度80km/hで距離80km走行できることがランフラットタイヤとしての要件。

注2タイヤ重量の軽量化を指します。

NEO-T01

パンク修理、空気圧管理から解放されるエアレスタイヤの実現

  • 住友ゴムグループ

当社は、「SMART TYRE CONCEPT」を構成している技術の一つであるエアレスタイヤテクノロジー「GYROBLADE(ジャイロブレイド)」を開発中です。
「GYROBLADE」は、空気を入れないためパンク修理や空気圧管理といった必要がなくなる上、安全性の向上とあわせスペアタイヤが不要になることで省資源・省エネルギーにも貢献します。空気入りタイヤと同様に低燃費が要求されるため、空気入り低燃費タイヤのトレッドゴムを採用したのに加え、タイヤ製造技術における「超高精度」を追求した次世代工法「NEO-T01」の技術を活かして生産するなど、当社が持つ最新鋭の技術を集結しました。
従来のタイヤの概念を覆す「GYROBLADE」の早期実用化に向け、引き続き研究開発に取り組んでいきます。

GYROBLADE

低燃費タイヤの開発

  • 住友ゴムグループ

スマートタイヤコンセプトで掲げている「性能持続技術」を採用した商品、プレミアムコンフォートタイヤ「VEURO VE304」や、フラッグシップ低燃費タイヤ「エナセーブ NEXTⅢ」といった商品を開発し、拡販を図りました。
両商品は「水素添加ポリマー」を用いることで、ウエットグリップ性能低下を抑制しつつ、高い耐摩耗性を実現しています。
なかでも「VEURO VE304」といったボリューム商品にこの素材を適用できる技術を確立したことは、大きな進歩だと考えています。
「エナセーブ NEXTⅢ」はセルロースナノファイバーを採用し、乗り心地と操縦安定性能を両立しています。
セルロースナノファイバーのタイヤへの採用は世界初であり、この環境にやさしいバイオマス素材をタイヤ材料として使いこなせたことは、サステナビリティの観点からも大変意義のあるものと考えています。
これらの商品はお客様から高い評価をいただきました。
「VEURO VE304」は「用品大賞2020」グランプリ、「エナセーブNEXTⅢ」はエコプロアワードや超モノづくり部品大賞、省エネ大賞を受賞するなど、各団体からも評価をいただいています。

VEURO VE304 / エナセーブ NEXTⅢ

Topics

当社初の市販用EVタイヤDUNLOP『e. SPORT MAXX』(イースポーツマックス)

EV車が一回の充電で走れる航続距離を伸ばすためには、転がり抵抗を低減し電費を抑えることが求められます。e. SPORT MAXXでは、当社が持つ材料開発技術を活かしゴムの配合を工夫することで、当社史上最高レベルの低燃費(電費)性能を実現し、ウエット性能と操縦安定性能も高次元で両立させています。さらに、タイヤ自体を軽量化することによって省資源化を図り、環境負荷の低減に貢献しています。また、性能面に加え、サイドウォールのロゴには当社独自の黒色デザイン技術「Nano Black(ナノブラック)」を採用し、デザイン性も追求しています。

e. SPORT MAXX / イースポーツマックス

石油外天然資源タイヤの開発

  • 住友ゴムグループ

当社はタイヤ開発および周辺サービス展開のコンセプト「SMART TYRE CONCEPT」を掲げており、たとえばタイヤの摩耗、経年による性能低下を抑制し、新品時の性能を長く持続させる「性能持続技術」や、商品ライフサイクル全体で環境性能を高めて循環型社会の実現に寄与する「ライフサイクルアセスメント(LCA)」を採り入れた商品開発を推進しています。DUNLOP「エナセーブ NEXTⅢ」は、ウエットグリップ性能の低下を従来と比べて半減させる「性能持続技術」のコンセプトを取り入れています。さらに、高機能バイオマス材料であり国が重点産業として推進している素材・セルロースナノファイバーを世界で初めてタイヤ用ゴムに採用するとともに、タイヤラベリング制度において最高グレード「AAA-a」も達成しており、「LCA」の観点から環境負荷低減にも貢献できるものです。
今後もLCAの観点から、商品ライフサイクル全体で環境性能をより高いレベルに引き上げ、循環型社会の実現に寄与できる商品の開発を推進します。

当社調べ

ニュースリリースより抜粋

LCA
商品ライフサイクル全体で環境性能のレベルを引き上げ循環型社会の実現に寄与 これまでの材料の枠を超えた開発への取り組み

サステナブル原材料の活用推進

  • 住友ゴムグループ

サステナビリティ長期方針「はずむ未来チャレンジ2050」において、ESG経営の実践によって「最高の安心とヨロコビ」を追求することを掲げ、環境に関する取り組みの一環として、当社独自の循環型( サーキュラーエコノミー)のビジネスモデル構想である「TOWANOWA」を策定しました。バリューチェーンの「材料開発・調達」プロセスにおいて、CO2削減と持続可能な調達の実現を目指し、2030年に製造するタイヤのサステナブル原材料比率を40%に、2050年には100%サステナブルタイヤを実現することを目標としています。
2023年3月にタイヤ開発の最前線にあたるモータースポーツ分野において、DUNLOP(ダンロップ)ブランドでバイオマスとリサイクル原材料を使用したサステナブル原材料比率38%のレースタイヤを開発しました。開発したタイヤは天然ゴムや天然由来の原材料の活用、またリサイクル鉄から再生した材料を使用することで従来のレースタイヤからサステナブル原材料の比率を高めたレースタイヤです。今後さらなる改良やチューニングによって完成度を高め、2024年内に一部のレースへの投入を目指しています。
また、市販用タイヤでも2024年以降にサステナブル原材料比率を高めた新商品を順次投入していきます。

「Modulo Nakajima Racing」の「Honda NSX-GT」に装着したサステナブル原材料比率を高めたレースタイヤ
「Modulo Nakajima Racing」の「Honda NSX-GT」に装着したサステナブル原材料比率を高めたレースタイヤ
タイヤサイド部のロゴステッカーデザイン
タイヤサイド部のロゴステッカーデザイン

バイオマス材料の開発

  • 住友ゴムグループ

2013年に化石資源を全く使用しない世界初の100%石油外天然資源タイヤ「エナセーブ100」を完成して以降、エナセーブ100で培った当社独自の創生技術を活用し、自然界に存在する材料の優れた性能を引き出してタイヤ材料として活用する「創生高機能化」に向かって進化を続けています。
2016年8月に発売した「WINTER MAXX 02」から採用を開始した「超密着ナノフィットゴム」には、経時変化によるタイヤの硬化を抑制する新開発の高機能バイオマス材料「液状ファルネセンゴム」をしなやか成分として配合することで、高い氷上性能を長期間維持することが可能になりました。この材料は2020年8月に発売した「WINTER MAXX 03」にも引き続き採用しています。
2019年12月に発売した「エナセーブ NEXTⅢ」にはセルロースナノファイバーを採用し、乗り心地と操縦安定性能を両立しています。セルロースナノファイバーのタイヤへの採用は世界初であり、サステナビリティの観点からも大変意義のあるものと考えています。
2022年1月に発売した「SP SPORT MAXX 060+」には、「サステナブルシリカ分散剤」の採用を開始しました。

WINTER MAXX 03 / SP SPORT MAXX 060+

新奇バイオポリマー開発

  • 住友ゴムグループ

サステナビリティ長期方針に基づき、天然ゴムを持続可能な資源とするための取組みを行っています。2016年に、天然ゴムの生合成に関わる酵素の発見を報告して以降、酵素によるバイオポリマーの開発研究を続けています。これまでに東北大学、金沢大学、埼玉大学、理化学研究所との共同研究により、人工膜を用いた新しい酵素評価系の開発や酵素構造情報を基にした酵素の改変および改変酵素による新奇バイオポリマーの開発に成功しています。
これらの研究成果は、2023年3月21日から23日にドイツ・ハノーバーで開催された「Tire Technology Expo 2023」において、最先端の材料研究に贈られる「Materials Innovation of the Year」、研究においてブレークスルーとなる技術に贈られる「R&D Breakthrough of the Year」を受賞するなど社外からも高く評価されております。
これら天然ゴムの生合成に関わる酵素の研究開発を進め、タイヤ性能向上に寄与する天然ゴムの生産や天然ゴムの安定供給、環境負荷の少ない製品の提供を通じて、持続可能な社会の発展に貢献していきます。

天然ゴム合成酵素を基にしたトマト由来酵素の改変
天然ゴム合成酵素を基にしたトマト由来酵素の改変
改変酵素による新奇バイオポリマーの開発
改変酵素による新奇バイオポリマーの開発
人工膜を用いた新しい酵素の評価方法
人工膜を用いた新しい酵素の評価方法

プラスチック削減の取り組み

サステナビリティ長期方針「はずむ未来チャレンジ2050」の施策「プラスチック削減」についてスポーツ事業では、商品包装材などのプラスチック使用量を2030年に2019年比50%を削減すべく進めています。2021年秋以降発売のゴルフボールについて、パッケージの窓フィルムを順次廃止しているほか、2023年からは国内で販売するテニスボール「DUNLOP AUSTRALIAN OPEN(ダンロップ オーストラリアン オープン)」、「DUNLOP FORT(ダンロップ フォート)」の包装材PET缶のプラスチック製ふたを紙製に変更。練習球の「St.JAMES(セント・ジェームス)」などについて、プラスチック製ふたを廃止、ラベルについて紙製に変更し、ボトルの中に入れました。この取り組みにより、日本国内で年間約20tのプラスチック使用量削減を見込んでいます。2024年以降、海外でも国・地域に応じた同様の対応を進めていく予定です。

耐震性を高める制振ダンパーの開発

当社の高減衰ゴムは、振動エネルギーを瞬時に熱エネルギーに変換することで、風揺れなどの微少な揺れから大地震まで、さまざまな揺れを低減することが可能です。
戸建住宅や超高層ビル、大型橋梁ケーブルや橋げたなど規模も異なる幅広い建築物に採用されています。

制振ダンパー採用事例

タワーマンションと橋梁ケーブル

Topics

制震ダンパー「MIRAIE」10周年「歴史的建造物の保全プロジェクト」 書寫山圓教寺法華堂に制震ダンパーを設置

2022年12月、1000年以上の歴史を誇る書寫山圓教寺(兵庫県姫路市)の法華堂に当社の制震ダンパー導入工事を実施いたしました。
同ダンパーには当社独自の制振技術の結晶である「高減衰ゴム」を使用ており、これまで世界最大級の木造建築として知られる東本願寺や熊本城天守閣の耐震補強工事にも採用されてきた実績があります。この度、同様の「高減衰ゴム」を使用する木造戸建て住宅向け制震ダンパー「MIRAIE」が販売開始10周年を迎えたことを記念する「歴史建造物の保全プロジェクト」の第一弾として、書寫山圓教寺法華堂へダンパー設置されました。
今回の設置を皮切りに、新築・既存物件を問わず地震から建築物を守る活動を進めてまいります。

書寫山圓教寺法華堂
書寫山圓教寺法華堂

環境にやさしい天然ゴムで作られた家庭用天然ゴム手袋「樹から生まれた手袋」

  • グループ会社

(株)ダンロップホームプロダクツで販売している家庭用天然ゴム手袋「樹から生まれた手袋」は、環境にやさしい天然ゴムで作られたゴム手袋です。住友ゴム独自の低アレルゲン天然ゴム「Selatex(セラテックス)」を使用した「リッチネ」、スタンダードタイプの「グッドネ」、女性の手にぴったりフィットする「プリティーネ」の3タイプを揃え幅広いニーズに対応しています。 さらに、「樹から生まれた手袋」の販売数に応じて、マレーシアでの植樹活動や、女性の健康を支える日本乳がんピンクリボン運動、男性の家事・育児への啓発活動、日本赤十字社への支援に寄付する社会貢献活動「1 PAIR for 1 LOVE」を展開しています。2022年度は301万円を寄付しました。 マレーシアの植樹活動では、2022年度は2,400本の植樹を行いました。活動を始めてからの累計植樹本数は26,400本となっており、オランウータンの生育地となる原生林に近い環境づくりを継続して進めてまいります。

「樹から生まれた手袋」

gloves
マレーシアに植樹
22年2,400本(累計本数26,400本)をマレーシアに植樹

家庭用ゴム手袋「樹から生まれた手袋 シンプルカラーズ」を新発売

「樹から生まれた手袋 シンプルカラーズ」は、昨今の魅せるキッチンや水回りに調和しやすいカラーとして、「モノトーンホワイト」と「モノトーンブラック」の2色展開としました。「樹から生まれた手袋シリーズ」は天然ゴム製で土中の微生物により分解され自然に還るため環境に優しく、手が触れる部分の植毛には綿を使っており、手肌にも優しいゴム手袋です。また、食品衛生法に準拠しており、肉や魚等の調理に使えるうえ、抗菌加工を施しているため衛生的にも安心です。

お客様にわかりやすく商品をお届けするため、パッケージにはピクトグラム(グラフィックシンボル)を用いて、ゴム手袋の機能や特徴を一目でわかりやすく表現しました。柔らかい天然ゴム製で手肌にフィット、スタイリッシュなカラーで暮らしにフィット、そして地球にやさしいエコな天然ゴム手袋で、お客さまの生活に安心・安全・快適をお届けします。

食品添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号に適合)

「シンプルカラーズ」

シンプルカラーズ

マイクロプラスチック問題への取り組み

スポーツ人工芝では、経年使用により破断した人工芝や充填したゴムチップが河川や港湾に流出し、マイクロプラスチックとなっている可能性が指摘されています。当社では2020年から施設管理の各自治体などの協力を得て、流出状況の確認と流出抑制効果の高い資材や製品の開発と、それらの実証実験に取り組んでいます。開発品は、人工芝外周フェンスへのバリア資材や排水溝へのフィルター材などで、環境省のマイクロプラスチック対策のグッド・プラクティス集や、大阪府が2023年3月に公開した「大阪府内の人工芝施設におけるマイクロプラスチック流出抑制に関するガイドライン」にも掲載されています。2022年6月以降、東京都多摩市との協力によるテニスコート(砂入り人工芝)での対策検討も推進中です。

5ミリ以下の微小なプラスチック

環境省:マイクロプラスチック削減に向けたグッド・プラクティス集 大阪府:大阪府内の人工芝施設におけるマイクロプラスチック流出抑制に関するガイドライン

多摩市:テニスコート人工芝におけるマイクロプラスチック流出抑制対策について

流出抑制システム導入の様子
流出抑制システム導入の様子
人工芝外周フェンスのバリア資材
人工芝外周フェンスのバリア資材